内容説明
北大植物園とひかり公園。二つの殺人事件を探る浅見は、刑事局長である兄陽一郎に、プロモーター白井の調査を依頼する。だが、いつになく歯切れの悪い陽一郎…。浅見に事件から手を引くよう真剣に忠告する兄は、何を知っているのか?サッポロドーム計画の裏に蠢く欲望と疑惑。開拓者達が抱いた高邁な理想を裏切り、清新な北の大地を蝕んできた歴史的巨悪。浅見光彦の壮大な闘いを描く傑作ミステリー。
著者等紹介
内田康夫[ウチダヤスオ]
東京都出身、現在は軽井沢に在住。1980年、『死者の木霊』を自費出版してデビュー。全国を旅して日本人の心の琴線に触れるミステリーを書き続けている
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
セウテス
58
〔再読〕浅見光彦シリーズ第66弾下巻。スピード感が増し、中々見えてこない巨悪の影にサスペンス色の強い展開です。シリーズの中では珍しい設定が多く、24の様にリアルタイムで話が進む感じがあり、マドンナは居なかった。北海道だからなのかも知れないが、映画を意識した、いつもより全てが大きめ、派手な演出に感じた。しかしそれが悪い訳ではなく、心地良いのだが、やはり場所柄と言えるだろう。サッポロドームに絡む利権を始め、ノンフィクションの様な問題提起に、社会派に転向したのかと思えるほど。上下巻だが、長さをまるで感じない。2016/06/29
がたやぴん
58
長年続くシリーズの中でこの時代の作品が好きです。小さな違和感から事件の概要を再構築していく。幾つかの可能性を踏まえ、それを潰すことで点と線を仮説で結ぶ。今作はそんな光彦に向いた事件だ。敵は、ある組織なのか。それとも巨悪の本丸に乗り込むのか。単純ないつものパターンを予想していたが、良い意味で裏切られた展開。社会派ミステリと呼んで良い作品だと思います。《ヒロインは不在。光彦以外に惚れ、光彦が応援する稀有なパターンw》2016/01/14
su☆ma
8
★2.5(図) 上下巻通して、政治絡めると浅見光彦は面白くなくなるということが分かった。旅情ミステリーを超えた首突っ込み過ぎの展開。私はこの展開になかなか入り込めず、進みも遅くなって参った。しかし、今も昔も悪代官のような政治家はブルドッグ面をしているらしい(ブルドッグに失礼じゃない?)。全ての元凶が一瞬しか出てこないのもお約束。浅見さん、社会派ルポライターに転向したかと思うぐらい気軽に読めない長編だった。気楽な北海道旅行したかったよ。2017/07/09
Kiyoshi Utsugi
5
内田康夫の「札幌殺人事件(下)」を読了しました。 札幌市で失踪した戸田亘の行方を追っていた浅見光彦は、北大植物園、ひかり公園での二つの殺人事件に出会い、そちらも犯人を追い求めることになります。 その中でキーパーソンとして現れたプロモーターの白井信吾とはどんな人物なのか… 面白かったので、上巻に続いて下巻も一気読みとなりました。2019/04/13
秋庭誠
5
【蔵書本】結末は若干ぼかしてますがね…。警察がどう処理するか、それはまさに「神のみぞ知る」だな…。2012/09/19