内容説明
殺された飯島が八幡神社を巡った理由はなんだったのか?事件を追う浅見光彦は老人の閉ざされた半生と癒えることのない戦争の傷痕に胸を痛める。愛するものと信ずべきもののために殉じた人々が、若者たちに託した戦後半世紀の誓い。それが、美由紀と婚約者の松浦に思いもかけぬ悲劇をもたらすことになろうとは…。松浦の赴任地である高知県に飛んだ浅見を最大の試練が待ち受ける。
著者等紹介
内田康夫[ウチダヤスオ]
東京都出身、現在は軽井沢に在住。1980年、『死者の木霊』を自費出版してデビュー。1982年には、浅見光彦が初めて登場する『後鳥羽伝説殺人事件』を上梓。以来、全国を旅して日本人の心の琴線に触れるミステリーを書き続けている
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感想・レビュー
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nobby
110
再読。下巻に入ってもドンドン読める丁寧な事情の解明は偶然とか無理やりとは言うなかれ(笑)上巻で匂わされていた通りに真実が明かされ、そしてフラグ出ていたままに悲劇が起こる。その死について、自省ではとても足りぬほど浅見さんの責任は重過ぎる…秋田・高知・熊本といった八幡を舞台に、読者には示されていた事実が様々な視点とともに重なっていくのが分かりやすく面白い。黒幕達がこんなにも呆気なく散りゆく最後は全く覚えていなかったが…その敗戦故に日本人が国の誇りを失っていく様を憂う作家の激しい葛藤を全編に渡り感じさせる力作。2019/05/15
あつひめ
70
永遠の0のDVDを見たばかりなので、特攻隊に所属する者たちの繋がりを思い浮かべながら読み進めたら、半世紀という中で幾重にも重なり絡まり縺れたものが、心に痛く響いてきた。偶然ではなく…必然だったような出会いとか…。ラストは思いがけぬ幕引きで…。でも、それこそ天罰が下ったのだ…と、誰もが口々に言いそうな終わりで…。事件は解決したけど、添い遂げられなかった二人のことを考えると…切なかったな…。2014/10/10
HANA
56
下巻になって各地の八幡と被害者を結びつける糸が次々に発見される。のはいいのだけど、やはりミステリとしては微妙。上巻にも増して著者の国家観、教育観が開陳される率が増えている為、読むのがなかなかに辛いものがある。メッセージ性が強いというか、前面に出すぎているというか。紅旗征戎非吾事、自分がミステリに求めているのはやはりそういうものじゃないと、再確認できた事だけが収穫か。ラストも何かもやもやした感じで終わるし、自分にはどうも合わない作品でした。昔著者の作品を読んでた時はそうじゃなかったように思うんだけどな。2020/04/04
ドナルド@灯れ松明の火
16
八幡を冠した特攻隊員が敗戦時、日本の世の中を良くしようと誓い合った。しかしその時の仲間の金久保が金のために、議員となった立場を使い土建屋になった仲間川路を経由して政治資金を得ていた。飯島が引退を勧めに行ったのに逆に殺されてしまった。小内美由紀の婚約者松浦は文科省からtoto反対のため高知に左遷され、toto利権を狙う地元暴力団に殺されてしまう。謎解きの仕方が面白く下巻もあっという間だった。浅見シリーズを読んでみたくなった。2014/03/25
十六夜(いざよい)
12
殺された飯島が八幡神社を巡った理由はなんだったのか?事件を追う浅見光彦は老人の閉ざされた半生と癒えることのない戦争の傷痕に胸を痛める。時代も場所も超えて、前巻とは打って変わって頑張る光彦。色んな場所ならではの話や蘊蓄が聞けるのもこのシリーズの魅力的な所。壮大な話だっただけに、最後が少し尻すぼみな感じがしたが、十分楽しめた。2019/06/30
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