内容説明
〈うつそみの人にあるわれや明日よりは、二上山を弟世とわが見む〉大津皇子の死を悲しみ、姉の大伯皇女が詠んだ歌に隠された意外な事実!?大東広告の社員で24歳になる村久は、清楚で慎しみ深い美人恵津子に憧れ、いつしか二人は恋仲になった。だがある日突然、恵美子は村久の前から姿を消した―。巨大企業エイブルックにまつわる黒い噂。謎の連続殺人。恵津子の出生の秘密。事件をとく鍵は、恵津子が村久に託した一枚の絵に!!東京、奈良・飛鳥を舞台に、古代と現代をロマンの糸で結ぶ、伝奇ミステリー。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nobby
104
再読。まだ年に数冊も読んでいなかった頃、内田康夫マニアな父親本棚から手にした作品を8年振りに(笑)学生時代に結構読んだ『〇〇伝説殺人事件』だが、今作には浅見光彦は登場せず。広告会社に勤務する村久に、恋人の疾走から突如降り掛かる殺人や陰謀、そのキーワードは「アスカノミコ」。実際に奈良や飛鳥という土地を探訪させながら、大津皇子に想いを馳せる姉 大伯皇女の詠んだ歌などで史実重ねて、戦後日本の政治経済や社会の腐敗に繋げて読ませるのは見事!終盤のトンデモ展開は思い出して苦笑いだったが、ラスト漂う哀愁は嫌いではない。2019/04/04
あおさわ
7
主人公・村久紘道はある日突然失踪した恋人の行方を追ううちに大きな陰謀に巻き込まれ…。大企業、政治家の腐敗から大戦時の虐殺、さらに飛鳥時代の皇子までもりだくさん。ファンタジックな要素も絡めて綺麗にまとまっています!村久さんのキャラの変貌も面白かった。ラストも好きです。2012/03/23
ジーク
5
日本史とミステリーとファンタジーと…、好きな要素がたくさんの詰まっていて、楽しく読める一冊でした。2014/04/29
琵音
5
2007年5月に読んだ本の再読。ストーリーも何もかもすっかり忘れていました。初版は昭和59年。バブル直前のこの頃はまだ従軍経験も鮮烈な方が多くご存命だったころです。当時よりも今読んだほうが、「武蔵野環状線」の記述などに時代色が増していて面白いかもしれません。奈良の地名や古代の道に関する考察は今読んでも面白いです。2014/01/13
蕭白
5
久々に再読。珍しくシリーズ物じゃない作品でした。ちょっとファンタジックなところがあって、個人的にはけっこう好きなタイプです。2011/08/24