内容説明
日本を代表する紀行作家・宮脇俊三が、その生い立ちから作家デビュー後の鉄道人生を静かに語る。金曜夜に北海道へ出かけ、月曜朝には出社していた会社員時代、待ち時間との闘いだった『時刻表2万キロ』への道程、鉄道に乗ること自体が目的だと理解してもらえない海外取材の悩み―。少しずつ原稿を書き進み「旅行していると、病気をしない」と語る、宮脇俊三の魅力あふれる人生と鉄道への尽きぬ想いにふれる。
目次
第1章 あこがれのループ線
第2章 国破れても列車は走る
第3章 中央公論社のころ
第4章 重役から紀行作家に
第5章 世界の鉄道アンデスからノルウェーまで
第6章 終着駅なしの鉄道人生
著者等紹介
宮脇俊三[ミヤワキシュンゾウ]
1926年、埼玉県川越市に生まれる。51年、東京大学文学部西洋史学科卒業。出版社勤務を経て、鉄道紀行を中心とする執筆活動に入る。著書は、『時刻表2万キロ』(第5回日本ノンフィクション賞)、『時刻表昭和史』(第6回交通図書賞)、『殺意の風景』(第13回泉鏡花文学賞)、『韓国・サハリン鉄道紀行』(第1回JTB紀行文学大賞)ほか多数。99年、第47回菊池寛賞を受賞。2003年2月、逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
saga
56
宮脇氏の語り下ろし作品、とは思わずに購入。一、二章はこれまで読んできた鉄道紀行文のおさらいのようだったが、第三章の中央公論社のころから、初めて目にする氏の話が俄然おもしろくなってきた。外国の鉄道紀行はあえて購入していないが、これを読むと読んでみたくなる。読者へのメッセージとして「忠告ですか? とくにありませんが、趣味と仕事とは私のようにいっしょにせず、はっきり分けておいたほうが体のためにはいいのではないでしょうか。」という本書の結びの段落が印象的。2013/10/10
piro
30
宮脇俊三さんの人生が語られた一冊。幼少期から鉄道に親しみ、戦時中ですら不要不急の汽車旅に出掛けていたというから筋金入りの鉄道好き。数々の紀行を出版されるまでが語られており、とても興味深い。会社勤めの頃の制約がある旅。金曜日の夜から月曜日の朝までで、どの様に列車に乗るのかを時刻表を見ながら考える楽しみはとてもよくわかります。寝台車で飲む酒は格別だと言うのも同感。今ではなかなかできない汽車旅のノスタルジーも感じられた愉しい一冊でした。2025/05/25
ドナルド@灯れ松明の火
21
宮脇さん聞き下ろしとでもいうのか。宮脇さんに色々聞いてその語りを対談者が書き下ろしたもの。宮脇さんの人生が語られる。校正段階で宮脇さんの朱が入ったのだろう、宮脇さんの発言内容が宮脇さんが書いたものと同じ名文になっている。相変わらずユーモアもあり端正な名文だ。 お薦め2016/02/22
浅香山三郎
16
宮脇俊三さんの語り下ろしによる自伝。鉄道紀行作家としての宮脇さんの著書は何冊か読んできたが、『時刻表2万キロ』で作家デビューする前の氏の歩みについては断片的にしか知らなかつた。中央公論社を一度退社してのちに復職(再入社)してゐたことや、中公の重役として労使対立に苦労したことなど、全く知らなかつた宮脇さんの姿を知ることができた。語り下ろしといふスタイルや、宮脇さんのユーモアによつて、かういふ苦労は比較的にあつさりと書かれてゐる。さういふ点に、この作家のやはらかさの中にある芯の強さが感じられた。2019/05/04
ステビア
13
半生を語り下ろす。中央公論にいた頃の話を興味深く読んだ。2020/05/24
-
- 和書
- 中国人的性格 中公叢書