内容説明
ブティック勤めの福美は、プロのレーサーを目指す恋人邦彦のためになんとしても1000万円を工面したい。とらの子の70万円を株投資、高級化粧品のネズミ講販売等々とその手段はエスカレートし、ついに若い自分の「体」をも商品にしてしまう。2人の大きな「夢」を賭けて思いつめた献身が、2人の愛と信頼を崩していくのだった。若さ、金、権力がちょっとした仕掛けで簡単に手を結ぶ「現代」の様相と仕組みを映し出した、出色の恋愛長編小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
shoko
16
なんだか新鮮なその時代。ハウスマヌカンとかなんかもうテレビで見たことのあるバブルな世界。わかりやすい展開だけどまるでドラマを見ているように引き込まれる。ある意味とても良い時代。今よりもずっと。2017/05/02
おおちゃん
11
これは恋愛小説なの?!ラストが盛り上がりをみせる。昔の背景ではあるものの、男と女の駆け引きはいつの時代も同じなのか・・・。お金に執着する女の物語。2015/07/19
もぐを
4
古い。ハウスマヌカンとか何処へ消えてったんだ。株とかねずみ講とか。新しいはすぐに古いになるね。2017/11/16
長くつしたのピッピ
4
こんな人が息子の彼女だったらいやだなと思った。動機は恋人の為のはずがどんどん手段を選ばずにお金のために売春まがいのことやねずみ講、恐喝とエスカレートしていく。恋人に捨てられるのも仕方が無いが、この先人としても堕ちていくの見える。2014/04/12
toki
3
女が若さを利用できるのはいつまでだろう。若さを理由に無知が許されるのはいつまでだろう。与える者と与えられる者の力の均衡が崩れるのはいつだろう。どんな悲劇も、止められる限界というものがあるらしい。誰も何も悪くはなかったと通り過ぎてから言える。無関係な者だけが、ことの顛末の理由を見つけて、残骸に価値を見出そうとする。若さに甘えている自分に気づいた瞬間に、ハッと気持ちを引き締めて立て直せるか、冷静かつ謙虚な心で自分を改めることができるか、そこで運命が大きく分かれる気がする。2017/10/09