内容説明
イザナギ・イザナミの国造り、アマテラスの岩戸隠れ、八俣の大蛇。伝説の主役たちが、嫉妬に狂い、わがままを言い、ご機嫌をとる―。神々と歴代の天皇が織りなす武勇伝や色恋の数々は、壮大にして奇抜、そして破天荒。古代、日本の神さまはとっても人間的だった!「殺して」「歌って」「まぐわって」。物語と歴史が渾然一体となっていた時代、その痕跡をたどり旅した小説家・阿刀田高が目にしたものは!?古事記の伝承の表と裏をやさしく読み解いた一冊。
目次
国の始まり―イザナギ・イザナミによる建国
岩戸の舞―アマテラス大御神、岩戸に隠れる
神々の恋―八俣の大蛇退治と因幡の白兎
領土問題―オオクニヌシの治世
海幸彦山幸彦―兄弟の争い
まぼろしの船出―神武天皇の東征
辛酉にご用心―崇神・垂仁天皇の治世
悲劇の人―ヤマトタケル伝説
皇后は戦う―仲哀・応神天皇の治世
煙立つ見ゆ―仁徳天皇の権勢
殺して歌って交わって―雄略天皇の君臨
女帝で終わる旅―返り咲いた顕宗・仁賢天皇
著者等紹介
阿刀田高[アトウダタカシ]
1935年東京都生まれ。作家。早稲田大学文学部卒。著書に、短篇集『ナポレオン狂』(直木賞受賞)ほか、『新トロイア物語』(吉川英治文学賞受賞)など多数
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感想・レビュー
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nobby
111
うーん、やっぱり整合性の無い想像を強いられる神話の世界は、ギリシャから日本になっても苦手…『古事記』が描く大和朝廷へも繋がる神様エピソードを、大胆に切り取って面白おかしく読むのは確かに楽しい。その中心となるのは「まぐわひ」で、それまさに18禁ばかりなことに驚かされた。ただ、どうにも馴染めない神の名前や、しっくりこない物語を追うのが難しく…今作が実質、作者が実際に由来の場所を訪れた様子を加えてのエッセイな作風であることも、小説好きな自分には響かなかったのか…結局、既知の内容の確認に留まるまでの読後感が残念…2018/10/12
財布にジャック
79
この本読んだら、旅行に行きたくなっちゃう罠が仕掛けられてました!古事記を巡る旅がしたいです。阿刀田さんが全国ゆかりの地を巡っているのを読んで、あそこもなのかここもなのかとチェックしました。それに、この本で初めて知ったのですが、静岡県焼津市とか福岡県糟屋郡宇美町とかの地名って古事記に因んでいたのを初めて知ってびっくりです。三種の神器が何かも知らなかった私には、全てが新鮮で読みやすく親切な入門書でした。2011/12/03
大阪魂
68
おお、やっと古事記ってどんなん書いてあるんかわかったー!これまでも漫画とか読んだりしてたんやけど、どれも登場人物てんこ盛りやし、突然わけわからん行動するし、こんなんついていかれへん!ってほりなげてた…でもこの本エッセイやってんけど、ほんまわかりやすかった!古事記編集しはったときの政治状況とか触れてくれるし、武士道なんかあれへんから騙してでも勝ったらええねんって古代の風潮もそーやなあっておもえたし、おまけに古代の神々とか天皇ゆかりの地教えてもらえたりで、ほんと楽しかった!「楽しいシリーズ」他もあれへんかなあ2019/09/23
ベイス
64
阿刀田さんの「古典をわかりやすくおもしろおかしく概観するシリーズ」の1つ。どうしても既読の「ギリシア神話」などと比べてしまうわけで、率直にいって古事記は見劣りする。物語に奥行きがない。恋愛も政争も権謀術数も、単純すぎて退屈。阿刀田さんの筆力をもってしてもそこはいかんともしがたく、思わず筆者自身も「つまらない」と吐露。それは、この書が大和朝廷の正統性を誇示するため我田引水的に各地の伝説を編纂した成り立ちとも関わるのだろうが・・・逆にいえば素朴であり、純粋であり、土着的であり。比較しちゃいけませんね(汗)。2021/02/09
吉田あや
55
訓み下し文でも読み進めるのになかなか骨の折れる古事記。原文など注釈がたっぷりと付いていても目はどんどん滑り、早い段階で睡魔に襲われ続けるという茨の道で、途中断念から早数年…。読みたい内容が多数含まれすぎている古事記。でも…。そんな時は、難関本でも面白さを掘り起こし、あらゆる角度から興味を引き出してくれる強い味方、阿刀田高先生がいるじゃないか!聖書も遠野物語も阿刀田先生の導入で楽しく読了できた。今回も深すぎて沈みそうな古事記という沼で溺れないよう牽引してもらわねば!(⇒)2024/12/01
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