内容説明
ときめく恋、淋しい恋、情熱的な恋、せつない恋。〈おとこ〉と〈おんな〉。新たな〈恋〉のドラマが始まる時、夕闇という名の幕は、静かに二人の姿を隠す…。恋のドラマにあわせて、阿刀田高が奏でる恋の〈夜想曲〉。今夜の観客は、貴女ひとりです。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
takaC
62
旅先での交通手段にタクシーを使うなんて贅沢は自分はほとんど経験がないな。沢渡〜上高地みたいな通行はタクシー限定みたいな区間ぐらいだけかも。旅先に限らずタクシー自体数えられる程しか乗ったことがないのだけどね。ありゃ?何の話だ。ま、そんな事を考えさせられる本だということで。2015/10/14
saga
47
奥付は平成元年初版。40年近く前の作品だ。「影絵の町」の12の連作のようなそうでないような短編集。全編を通して男女の機微を、著者お得意の幻影風景とともに描いた作品になっている。”父の顔”で、意中の女性から「へんてこな口実を作って、頑固に拒否」される場面があったが、自分も味わわされた過去を思い出して胸中ほろ苦い思いが広がった。「銀座スクランブル」は人々が交差するスクランブル交差点に擬して男女、親子などの人間模様を描く。しかし、12の短編の後半にいくに従い、著者らしさを感じさせない結末になっていて残念。2025/02/12
MIKETOM
5
以前訪ねた町を再び訪ねる。そして数年(数十年)前に訪ねた時のことを心に思い描くという短編集。『遠い宴』高校の頃裕福なクラスメートがいた。夏休みに別荘に招待される。父母もきれいな妹も気さくで感じのいい人。夜にパーティが開かれたが夢のようなひと時だった。その家はやがて没落し別荘も売却。友人は一般社会に馴染めず自殺。妹は幸せとは言えない結婚をしやがて病死。残された父母は細々と暮らす。母から「娘(友人の妹)はあなたのことが好きだった」と言われた。十数年後、別荘の近くを通りかかると…。微かな幻想譚。阿刀田の真骨頂。2019/02/23
takaC
5
影絵の街/銀座スクランブル1992/08/21
東森久利斗
3
18禁、甘美な背徳の香り、影あってこその華、影あってこそのロマンス、妖しく棘のある禁断の果実、いつの世も変わらぬ男と女のラヴストーリー。大人のロマンスフェア、帯にうたうコピー”十人十色の恋、そして、十人十色の恋の影”、内容にいつわりなし。経験豊かな大人にしか分からない、セピア色のノスタルジックな追憶。分からない、カスリもしない我が人生に悔いなし。久方ぶりの阿刀田世界を堪能。2024/05/24