内容説明
ホーム・パーティを抜けだして、2階のウォーキング・クロゼットで憑かれたような情事をもった邑子。夫を裏切っているという痛いほどのスリルにみち、恐怖と混然一体となった欲望と快感のなかで、片方のイヤリングが忽然と消えた――。夫のいるはずのない時間帯にかかった1本の電話がパーフェクトに装われた不倫の恋を、イヤリングが情事の現場を顕にした。表題作「イヤリング」ほか、夫婦関係の破綻、男と女の愛の脆さを、婚約、結婚、離婚というそれぞれの状況の中で描く、緊張感あふれる作品集。文庫オリジナル。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はりねずみ
2
何の過不足も無い平穏な日常。たまにパートナーとぶつかる事もあるけれど、幸せに相違ない。それなのに突然日常に嫌気がさし自分を獣にしてくれる、荒々しい感情に出会わせてくれる出来事を求めてしまう。しかしいざその場面に出くわすと丹念に編み込まれた日常がほつれるのが怖くて二の足を踏む。日常に組み込まれている事への反発と虚しさの葛藤を男女の関係を通して描く。最初の二編がまるでバブル時代の華やかさを崇拝する昼ドラのようで好きではなく読み通すのをやめようと思ったが、最後まで読んでよかった。特にケアレスウィークエンドが◎2013/08/23
みい⇔みさまる@この世の悪であれ
2
☆×5.0…著者の描く男女の世界というのはとにかく生々しいに尽きます。なぜならばそれだけ男女の心理というのをよく理解し、巧みに描写しているから。特にそれを感じたのは表題作である「イヤリング」でしょう。完璧につくろっているからこそ出てきてしまう隙、というのがあるのです。勘がはたらいてしまうような隙、が。しかしそれの加害者もまた罪作りです。本当に猛獣にふさわしい男なのですから。そのほかには「不倫の理由」もまたインパクトのある作品です。火遊びの結果は…2012/10/28
なつき
0
小説『イヤリング』読了。引き続き、森瑤子。きれいなのにどこか不穏なタイトルの通り、浮気や不倫を中心とした、ほんとうに緊張感溢れる短編集であった。どのお話もなにげない。浮気や不倫の経験がなくとも、そこにある心情はすっとわかるのでは。けれどもなにげなさが美酒になるのはやはりすごいよ。2017/03/13
愛奈 穂佳(あいだ ほのか)
0
【大学在学中の4年間で、卒業後に進みたい業界に関係ある本を1000冊読みなさい、と言われたので挑戦した記録】 #0141994/12/31
ひなの
0
不倫系の短編小説。 どれもその後が気になりる話しでした。2015/04/23