内容説明
伝説のロック・バンドがあった。その名は「フルハウス」。一世を風靡し、時代を駆けぬけ、たった6年で散った幻のグループ。惜しまれながらも散開した5人の男たちは、己の夢を食みながら、己の道を歩んでゆく。幾つもの夜が通りすぎ、幾つもの夢が砕けていった。7年の歳月が流れたある日彼らは、デビュー当時に世話になった横須賀のクラブが廃業寸前であることを知る。彼らは、かつて輝いた一瞬の光茫を求めて、愛し、傷つき、叫び、そして再び楽器をとった。翳りゆく夜に交錯し弾けた、青春の残像。心のかけら。灼けた夢の鎮魂歌。人間の“血”を通底して描き続ける著者が贈る、熱き魂のロック小説。