感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
新田新一
17
懐かしい本を読みました。この文庫の初版が出たのは昭和59年なので、約40年前の本になります。椎名さんの初めての短篇集。片仮名を多く駆使した独特の文体で書かれています。SFやファンタジーの雰囲気を持ちながら、そこからはみ出してしまう面白さを感じます。言い換えれば、椎名誠しか書けない小説です。地方の普通の食堂で、男性同士の血なまぐさい闘いが突発的に起きる「悶絶のエビフライライス」が特に面白かったです。現実の世界から物語が始まり、あっという間に異世界に連れていかれます。その眩暈のする感覚が好きでした。2023/12/29
そうたそ
11
★★☆☆☆ 著者の第一小説集とのこと。冒頭の「悶絶のエビフライライス」から、いきなり炸裂する独特の世界観。割とやりたい放題やってるように思える短編集だと思うが、どれもあまり完成しきっていない、というのが第一の印象。故に、面白いとは言い難いのがほとんど。唯一、「ブンガク的工事現場」は面白かった。甘酸っぱさを思わせる冒頭から、とてつもない展開が待ち受ける中盤から結末。後に様々な傑作を書き上げる著者の一作目かと思うと、新鮮な気持ちで読める。2024/09/12
大島ちかり
11
人間描写はとても上手。細かくこだわってて。おとなしそうだけど個性もあって。でも全部のお話が読後感が良いわけではないので、楽しくなかったです。狙いだと思いますが、読み終わった後、「変なの。」と思います。2016/11/03
ミツツ
10
言わんとする事が読み取れなかった。短編でどのお話も途中で終わってる感がある。でも妙に惹きつけられるこの不思議ワールド。だって飼い犬のジョン万作は新興宗教の信者だっていうんですから!なぜ?どういうこと?輪廻転生??2014/09/26
たみ
8
5つの作品からなる短編集。①定食屋で相席した男達の睨み合いがエスカレートしていき…[悶絶のエビフライライス]②幸せな夫婦の日常が徐々に崩れていく[米屋のビアガーデン]③なりゆきで行くことになった観光ツアー、ムエタイに何を見たか[ラジャダムナン・キック]④好きな女性に近づきたくて、よくわからないまま入会した組織の活動内容とは[ブンガク的工事現場]⑤休日になると逃げ出す犬、追いかける男はある事実を知らされる[ジョン万作の逃亡]ーー[悶絶~]の、日常がスバヤク非日常に移行していくコミカルな不気味さが好きだ。2014/02/15