感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
towerofthesun
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昭和24、25年を舞台にした筆者の半自伝的ピカレスク小説。当時の競馬の様子が窺えて非常に興味深かった。いかに関東と関西が隔絶していたか、のちのトキノミノル(最初はパーフエクトという馬名だった)の函館デビュー戦、筆者の運命の馬ウイザート、アラブの名優タマツバキなど、実在の名馬や往年の調教師、騎手たちが登場する本書は、もはや近代競馬史の資料とも言える。主人公戸上正人の行動はメチャクチャだが、ここから筆者渾身の一連の競馬シリーズが始まるとなると、傍若無人ぶりに快哉を叫んだ読者も多かったのだろう。2021/08/01