内容説明
結婚して二十五年、規子は夢にまでみたマイホームを手に入れた。ところが引っ越したその時から、次々と家の中で奇妙な事が起こり始める―。昼間の孤独な彼女を襲う妄想、怪しい出来事、物音…。家族たちも取り合ってはくれない日常的でささいな出来事。すべては偶然か、それとも神の手か。やがて彼女の前に暴き出される夫の、娘の、最愛の息子の真実の貌とは…。新築の分譲住宅を舞台に、〈家族〉の恐怖を描く長編小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェルナーの日記
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故・栗本薫氏といえば、未完の超大作『グイン・サーガ』、『魔界水滸伝』、『伊集院大介』シリーズなどファンタジー、ホラー、ミステリー等様々なジャンルを手掛ける。また、中島梓の名で評論活動や作詞作曲、ピアノ演奏、ミュージカルの脚本・演出等も手がけ、TVにも出演するマルチタレントぶりを大いに発揮し活躍した。栗本氏の特徴は、ジャンルの違いによって書き分けを明確に出来ることではないだろうか?通常、作家はジャンルが変わろうと、少なからず作家自身の地の文が見えてしまうものだが、栗本氏の書き分けは完璧に近く非凡さを感じる。2021/06/22
ぐうぐう
36
1993年に角川ホラー文庫から書き下ろしで刊行された『家』。結婚して25年、長年夢見たマイホームをついに手に入れた規子。その新居で起こる不可解な出来事が、規子の精神を蝕んでいく。確かにホラーだが、栗本薫はあくまで規子の内面に深く立ち入ることで恐怖を生み出そうとする。規子の家族との関係性や、社会における存在感など、中島梓の評論家としてのアプローチがそこには重なって見えてくる。中島梓原作・栗本薫ノベライズ、と称するのがしっくりとくるホラー小説だ。2023/09/29
そのぼん
34
念願のマイホームを手にいれたことから、妻であり母である彼女に降りかかる悲劇の物語。結構不気味でした。徐々に違和感が広がっていき、そして・・・。本当に狂っているのは誰か、って感じでした。2013/07/13
みなみ
16
本棚にあったので再読です。だんだん怖くなってきた時に変な文章が入って怖さ半減。ちょっと中途半端かなって感じでした。2020/04/08
うしこ@灯れ松明の火(文庫フリークさんに賛同)
12
念願のマイホームを手に入れた規子でしたが、引越し早々何やら怪しい気配を感じて・・。長年の夢が叶い幸せいっぱいの生活をおくるはずだったのに、奇妙な現象が激しくなっていくにつれて何かがずれていくように感じました。私は何よりも身体が弱かった息子への溺愛ぶりがちょっと気持ち悪かったです。怖いというよりも不気味さを感じた話でした。★★★2010/07/27