内容説明
故郷や肉親から遠く離れ、死と直面する戦場にあっても、誇り高い手紙の数々。そこに託された熱い心情は、時を経てもなお強く、読む者の胸をえぐる。異国の地で儚く散った無名の兵士たちが、父・母や家族にあてた真心の手紙。
目次
いつ死ぬるとも―昭和12年~15年
我今生に―昭和16年~18年
小生旅立たば―昭和19年
日本男子と生れきて―昭和20年
地上を去るにあたり―昭和21年以降
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
もりくに
27
辺見じゅんさんが昭和61年に、募集した書簡・手記・日記などの「遺書」を編集したもの。本書と「妻よ、子どもたちよ、最後の祈り」と「妹よ、弟よ、最後の詩」の三冊。特攻出撃の当日のものも、2~3年前のものもあるが、いづれも自らの「死」を覚悟したもの。「遺書」の前に、当人の所属、死亡場所、年齢が記され、後に執筆背景、遺族の思いなどが記された。死亡原因はもちろん「戦死」が多いが、「戦病死」、「餓死」、「刑死」など、様々。検閲を通ったものが多いので、多くが「公式」の言葉で書かれているが、必ず両親や兄弟の幸せを祈る。2018/07/30
ひらけん
14
無理やり戦争に行かされ、遠く離れた異国の地で両親に書いた最後の手紙。どの手紙にも死にたくないとかは書いてはいなかった。ただ、親に対する感謝の気持ちと先立つ不孝をお許し下さいの言葉が溢れていた。この本に出てくる一人一人に人生があり、家族がいて、友人がいて、故郷を想いながら、何度も何度も家に帰る夢を見て亡くなったに違いない。中には砲弾が飛び交う戦場の真っ只中、戦友が次々に亡くなり、刻一刻と迫る死の恐怖と戦いながら、暗い塹壕の中でメモ帳に残した手記が生々しかった。「今の所生て居る」この言葉が胸に突き刺さったな。2017/12/28
若作りのオバちゃん
1
父の本棚から拝借♪悲痛…豊かな今世に導いて下さった当時の方々に感謝します。2012/01/01