内容説明
麻雀は一般的に言えば遊びであるし、レートもその範囲で決められる。だがその域を抜けると、賭ける金額を自分の経済力ではなく自分の技量で決めるようになる。当然上のクラスへいくほどその闘いは熾烈を極める「レートは?」「金なんか賭けていないよ。でもラスを喰うと、金より多少重たい」遊び人川島に誘われて行った麻雀は、金を賭けた麻雀以上の異様な雰囲気が漂っていた。逃げ場のない喰うか喰われるかの本当の勝負が始まった。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
イズム(清瀬泉夢)
4
阿佐田哲也の短編集。麻雀を通じて知り合った人々の物語が書かれています。アウトローの話が多く、昔のアングラの世界感がとても楽しい1冊です。2013/09/05
桜井青洲
2
「黄金の腕」を含む8つに短編集。牌活字の作品を含まれるが後半のは色川武大名義のものかも、タイトルにも黄金の腕はユーモアとアウトローな雰囲気が醸しつつも起承転結がしっかり短く面白い。「前科十六犯」や「夢ぼん」のような戦後日本社会に溶け込めない人間の話を書かせると本当に著者は上手。2016/04/05
ゆーいちろー
2
表題作は麻雀小説による奇妙な味の物語として、秀逸。究極のギャンブルとはこういうものかという想像力が恐ろしくもあり、またどこかユーモラスでもある。収録作品はいずれも、どことなく物悲しい市井のアウトロー達が登場し、こせこせとしのいでいる姿が微笑ましい。「人生は五十五から」など本職のやくざが近代化の中で、会社員として退職し、余生を自力でしのいでいかなくてはならないのだが、素人?の女に退職金を食い潰されていく様子が、現実社会の恐ろしさというか、人間の性の悲しさというかを象徴的に示している。2010/08/15
ほらいぞん
1
夢ぼんや七ちゃんのような人間はいる。私の周りにも。ただ世が世なので悪性な癖(ギャンブル癖、ツケ癖)などはない。いわゆる「天然」に属する人間であろう。そして私はその様な人間が、嫌いだ。倦厭する。「しょうがないやつだな」「かわいいな」などとは思えない。抜けた事を繰り返されると最早ため息しか出ない。が、その様な人間を許容できる人は確かに周りにいるわけで。今も昔も変わってないのかなと少し思った。2010/11/13
どかどかどか
0
しびれた。かっこよかった。2010/08/15