内容説明
恋愛に憧れ、義兄とボーイフレンドの間で揺れる多感な少女を通して、人を愛することの意味を問う表題作。父が五十二歳の時に生まれたことを恥じている主人公が、自分の誕生に至るまで、父がいかに苛酷な半生を送ったかを知る「この重きバトンを」他一編を収録。『氷点』でデビュー以後、作家活動の初期に発表されながら、二十年もの間、散逸していた三作を収めた幻の作品集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ユザキ部長
85
「傷疾なき人生は恥」「汝ら互いに重荷を負え」「どんな人間の一生も、すべて自分自身へ行きつくための一つの道なのだ」三編からなる本。2016/05/17
のり
63
3話からなる短編。三浦さんが描く北海道の情景は美しい。「茨の蔭に」は父親の町長選を、娘の景子は10代の潔癖差で見詰め。勝つ為に手段を選ばない家族に不信感を抱く。今まさに選挙戦に突入の2017年。他に金を必要とする中に…当選し、少し目立つとすぐ杭はうたれる。国政を担うはずなのに、他人事の就職活動にしか見えない。「この重きバトンを」は、50過ぎに出来た子供を甘やかし過ぎた父親が息子の態度に業を煮やし、一冊のノートに託す。激動の時代を生きた生々しさが身にしみた。2017/10/15
チサエ
9
KindleUnlimitedにて再読。3話収載、どれも綾子先生らしい。表題作は心の動きが生々しい。人の気持ちは、制しなければどこまでも貪欲になれてしまい、慣れてしまうもの。厄介で、こわいね。2023/05/08
あさり
9
久しぶりの三浦綾子さん。初期の作品とのこと。短編で読み応えは欠けるが氷点を感じさせる。三浦さんの作品のテーマである人間の罪、キリスト的生き方が分かりやすく描かれている。2016/10/13
たぐっぴ
7
これもまた三浦綾子さんらしい小説でした。 人の為に身を引く事や諦めることは必要なのでしょうか。 考えさせられますね。いつも。2019/02/14




