感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
おしゃべりメガネ
152
静と動が見事に描かれた下巻で、上巻での勢いを失わず、見事に展開し続けます。ますます美しく、可憐に成長する「陽子」に執拗に密かな悪意を持って接する母「夏枝」、そんな娘をフォローする父「啓造」、血のつながりはないとわかっていながら、妹とを見守り続ける兄「徹」と、友人の妹を愛す「北原」、それぞれが抱えるあらゆるココロの'闇'をこれ以上ない壮大なドラマへと導き、描写する三浦綾子文学にとにかく圧倒されました。テーマである'原罪'と'憎しみ'がこれほどストレートに書かれている作品もないのでは。永遠、不朽の名作です。2019/08/29
Die-Go
89
駅内無料図書にて。辻口家の殺された幼子の代わりにもらわれてきた陽子。その出生にはある秘密があり、それが辻口家の一人一人を苦しめることとなる。そして、その秘密が陽子に明かされる時に運命は変転する。飛ぶように読ませる筆致は見事。少々表現や倫理観が古いが、それを踏まえて読んでもこの物語の持つ深さには変わりはない。★★★★★2018/10/27
yomineko@鬼畜ヴィタリにゃん💗
88
辛い時に辛い本を読んでしまった。娘を殺した犯人の子だと知ってからも酷いが陽子の恋人でしかも20歳以上年下の北原を手に入れようとする夏枝は非常に醜い。自分はどの男性にも愛される美貌だからと勘違いも甚だしく思わず顔が歪む。啓造も相当酷い愚か者。事実を知る前に自殺を図る陽子が哀れ。どうか陽子助かって!あなたは死ななくても良い何の罪もない心の美しい女性。続編が早く読みたい。人格者の北原と結ばれてほしい。2023/02/27
大福
84
健気過ぎる陽子ちゃんが読んでいて時々辛くなりますが、とても芯が通っていて内面も素敵な女性に成長し幸せになってもらいたいのに結末が…「続」も読まずにはいられません。2019/02/12
Tsuyoshi
81
事実を知った夏枝の嫌がらせなど様々な苦境に立たされても自身に対する疚しさの無さから強い気持ちで耐えていた陽子だったが終盤の母の暴露という思わぬ展開。さらに自身を責めてしまい心折れていく。タイトルの「氷点」とはここからくるのかと納得させられた。それにしても夏枝の身勝手な振る舞いには嫌悪感しか抱けず。2018/05/31




