内容説明
いまだ革命の夢を捨てきれない熊田留吉は、八方破れのロマンチスト。全学連丸角派の元副委員長という輝かしい肩書をもち、厚いジェラルミンの楯をいくつもブチ破った礫「飛龍」の、幻の投げ手だった。かつて60年安保の頃、闘争現場から逃げ出し、警察に身柄保護を求めた痛恨の汚点はあるが、誰でも革命家を気どれる風潮を苦々しく思っている―。右も左もブッタ斬る、奇想天外な発想。鬼才・つかこうへいの問題小説。
著者等紹介
つかこうへい[ツカコウヘイ]
1948年、福岡県生まれ。慶應義塾大学文学部フランス哲学科中退。74年、戯曲「熱海殺人事件」で岸田國士戯曲賞を最年少で受賞。名舞台を次々手がける一方、82年、小説『蒲田行進曲』で直木賞を受賞。2007年、紫綬褒章受章(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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やまねっと
8
これはイマイチだったな。特に引っかかるセリフもなくストーリーも陳腐で苦しいところだった。 革命を茶化しているところも笑えるのだろうが、私にはイマイチ乗れなかった。 飛龍伝も色々あるのだろうか。私が見た飛龍伝とはストーリーが異なっていたと思う。 蒲田行進曲は面白かったが、これは何度も書くがイマイチだった。2023/04/20
東森久利斗
3
日本演劇界の巨人つかこうへいの原点、つかこうへいワールドが炸裂、縦横無尽、傍若無人、スラップスティック、浪花節、バイオレンス、シニカル、アウトロー、反体制、個性と旨味が凝縮された初期の傑作。和田誠のイラストとのコラボレーションも最高。本書を遺してくれた叔父に感謝。2018/03/21
Sensyuu
2
つかこうへい、おもしろい!2016/07/14
おにぎり
2
そのとき若者は何を考えたのか石を手に取り、ぼろぼろのヘルメットを深くかぶり、タオルを首に巻き、そうして叫んだのだ。「平和とは何か」を2010/01/26
唯
1
私が知っている飛龍伝とはまた違う話だった。熱海殺人事件や他作品と同様にあらゆるバージョンがあるのがつかさんらしい。現役を離れても尚、心の内には燃える炎があるということか。ラストの長台詞はぜひ舞台で観たい。2025/03/11