感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
メタボン
25
☆☆☆★ 妖しの世界に入っていく舞台立てが上手いと感じた。表題作の山荘での姉妹の激烈なやり取り。「千夜恋草」の京都の静寂な寺と香道。「緋の蘰を額につけ」の埴輪と朱。「刺青の海で夏」の真夜中の幻覚・海の崖・少年の嫉妬。「春恨記」の少年の精神の崩壊。2019/02/18
MIRACLE
1
「マルゴォの杯」、「千夜恋草」、「緋の葛を額につけ」、「刺青の海で夏」、「春恨紀」の五作品を収録した短編集(解説・岡田嘉夫)。香を題材にした「千夜恋草」以外は、凡作。2015/12/03
かがみん
1
氏の作品は推理物ではなく、端的に言うと闇物である。暗黒には、終わりがない方がかえって面白い、手さぐりで、ああでもない、こうでもないと歩きまわるのもいいものです。不安定な積木を、一つ二つ三つと積み重ね、その都度一つ二つ三つと上の暗闇によじ登っていく。四つ五つ六つ、ぐらぐらと積木は揺れ動くだろう。七つ八つ九つ、十が、有るものと思って手をかけると、闇の空を切って前へつんのめる。「これから先は、あなたのイメージで」闇の向こうから、赤江氏の声が聞こえてくる。2014/02/05