内容説明
コピーライターの私は、江戸時代の戯作者・山東京伝の、現代にも通用する粋なセンスに心酔していた。京伝の資料を漁るうちに、ひょんな事から古日記を入手。それは岡っ引き・平吉の手によるもので、京伝の妹・およねへの恋心が綴られ、しかも彼女が神隠しにあったらしい異変が記されていた…。二百年の時を越えた恋の顛末を描く表題作他、「収穫」「組曲・北珊瑚礁」等を収めた、傑作短編集。
著者等紹介
半村良[ハンムラリョウ]
昭和8年、東京生まれ。昭和37年「収穫」が第2回SFコンテストに入賞。昭和48年『産霊山秘録』で第1回泉鏡花文学賞、昭和50年『雨やどり』で第72回直木賞を受賞した。昭和63年に第9回日本SF大賞を受賞した『岬一郎の抵抗』など、伝奇SFの旗手として数々の名作を発表する一方、平成5年には『かかし長屋』で第6回柴田錬三郎賞を受賞するなど、時代小説の分野でも活躍した。平成14年、68歳で死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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kagetrasama-aoi(葵・橘)
34
物置の発掘本。若い頃読んだときより読み難く感じた。ライトノベルを頻繁に読むようになった影響かも…。表題の「およね平吉時穴道行」は印象に残っていて結末も覚えていたが、数十年前より私自身の江戸時代(山東京伝が生きていた頃)に関する知識が増えていて、より楽しめた気がする。デビュー作の「収穫」は私の大好物がテーマ、面白かった。2021/10/08
アーチャー
11
半村良のデビュー作「収穫」を収録した短編集。その「収穫」と表題作、そして「虚空の男」が面白かったです。この時代の角川文庫は半村良をはじめ、眉村卓、山田正紀、都筑道夫、矢野徹といった作家の本が次々発売されていたが、あの時ちょっと無理してでもマメに買っておけば良かったと、今になって後悔させられております・・・。2013/04/26
グラスホッパー
4
初期短編集。SF全盛の時代。 若い頃読んだときは、大人の小説だなあ、と思った。 今は若い感性だなあ、と思う。 2019/06/19
miubw
2
・およね平吉時穴道行 江戸から昭和へ。山東京伝の妹のおよねとオリキャラの平吉がタイムスリップ。時穴は双方向みたいなのに何で平吉にだけ違う? ・幽タレ考 幽霊になってもCMタレント。コミカルだったのに、ラスト暗。 ・酒 宇宙人も酒で身を持ち崩す ・収穫 宇宙人による ・H氏のSF 性別が4つあったら ・虚空の男 空に浮かんで見えた男の正体。 ・組曲北珊瑚礁 宇宙人→ヴェトナム戦争に関わろうとして死んでいく日本人→宇宙人 意味不明。 ・太平記異聞 主君の名誉を守る部下。 変な話が多くてついていけません。2023/08/31
松田望
2
初読から二五年以上経過。今読み返すとデビュー作『収穫』に、その後の作品に共通する大きな存在に翻弄される市井の人というテーマが内包されていると気付く。『妖星伝』や『平家伝説』はより直接的に。大学の同級生の林くんも、僕にプログレッシブ・ロックを薦めるために、大いなる意志に導かれ生を受けたのかもしれない。2013/06/05