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角川文庫
日本語の外へ

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  • サイズ 文庫判/ページ数 619p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784041371947
  • NDC分類 914.6
  • Cコード C0195

内容説明

湾岸戦争をアメリカのTV放送だけで追ってみる、という試みから始まった本書は、アメリカを突き動かす英語という言葉の解明へと焦点を移していく。母国語によって人は規定され、社会は言葉によって成立する。たえず外部を取りこみ攻撃し提案していく動詞中心の英語に対し、日本語とは自分を中心とした利害の調整にかまける言葉だと著者は結論付ける。日本語によって生きるとは、どのように「偏って」生きることなのか?英語と日本語への熟考が、やがて読み手を世界の認識の根源まで導く鮮やかな思考の書。

目次

第1部 アメリカ(湾岸戦争を観察した;フリーダムを実行する;遠近法のなかへ)
第2部 日本語(世界とは母国語の外のこと;母国語の性能が浪費される日々;ペシミズムを越えようとしていいのか)

著者等紹介

片岡義男[カタオカヨシオ]
1940年東京生まれ。74年に『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年、『スローなブギにしてくれ』で野性時代新人賞を受賞。かつてないスタイルで若者の心象風景を描き、70年代から80年代を通して時代の圧倒的支持を受ける
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

踊る猫

36
湾岸戦争や貿易摩擦など扱われている話題はなるほど古びている。だが、ここで分析される日本および日本語観はいまなお有効性を備えており、読み応えは充分。日本人が日本語を用いることで、関係性の中で自分自身の位置を決める習性があるという指摘に唸る(それを平たく言えば「空気を読む」「忖度する」ということになるか)。むろんこうしたことは片岡以外の論者でも言えることだが、片岡は自身が読み解いた書物や自身のルーツに立ち返り(つまり、個人の実存に根差して)こうした意見にたどり着いたのだと思う。ゆえに有無を言わせない凄みがある2024/07/18

踊る猫

32
片岡義男という著者が実に卓越した日本語の使い手であること(いまの言い方で言えば「言語性IQが高い」)人であることは疑いえない。その高知能ももちろんさることながら、彼自身の皮膚感覚・肉体感覚を最大限に駆使してここに収められた実に手堅い・ねばり強い分析が施される。こうして見ると「渾身の」長編評論であることに唸ってしまう。ぼく自身がついつい陥りがちな「日本語はあいまい」という観念に異を唱え、片岡が小説執筆・取材・読書から得たロジックと感覚で異論を唱えるその手腕に(異論はあれど)あらためて脱帽せざるをえないと思う2024/10/16

踊る猫

29
読めば読むほどに、この力作において片岡義男が為そうとした分析の凄みを思い知らされる。湾岸戦争について、アメリカという大国について、英語と日本語について、日本という謎の国について……どの対象もそれだけで優に1冊本が書けてしまう巨大なもので、ゆえにこの本1冊の中に閉じ込められたそうした分析はその濃さにも関わらず、まだまだ論じられる余地があるとも言える。その分析はしかし他でもない私たちが片岡の仕事を引き受けて為していくべきなのかなとも思った。そう考えればこの本にはたくさんの「切り口」があり、開かれた仕事かと思う2023/02/22

踊る猫

29
世に日本人を論じた本は数多と存在する。だが、ここまで説得力を以て日本人の特色に切り込み、日本語と英語の相違を丁寧に分析した本はそう存在しない。片岡義男というひとりの「外人(Stranger)」は、その持ち前のフェティッシュな言葉への感受性を駆使して日本語と英語を考察し、そこから日本人とアメリカ人の意識の違いへと目を向ける。単純な「日本語は非論理的だ」という意見に堕することなく、英語を称揚する単細胞的な視点にも与せず、彼は孤独に論じる。やや独りよがりに終わってないかという危惧もあるが、しかし読ませて唸らせる2021/10/12

踊る猫

26
難解、というわけではない。だが取り扱いに困る本である。それは片岡義男がこのスリリングなアメリカおよび日本について(あるいは英語および日本語について)の考察を施す過程で徒手空拳で、誰の権威も借りずに論述しようとかなり無謀な試みをしているからだろう。外部に位置する哲学も社会学も政治学も使わず、代わりに自分自身の内側にある読書とアメリカ文化の原体験を駆使して論を進める。ゆえに、この本で重要なキーワードとなる概念の数々が外部の論理に応用できるかどうかわかりかねるところがあるのだ。本書の中で閉じていないかと懸念する2022/07/14

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