内容説明
紀州藩を巻き込んで密かに進行する陰謀、そして魔界より蘇りし7人の転生衆の存在を知った柳生十兵衛。敵は天草四郎を筆頭に、荒木又右衛門、柳生如雲斎、柳生但馬守、宮本武蔵…。十兵衛は孤剣を抱き、殺戮の魔人と化したかつての大剣豪たちと死闘を繰り広げる。そしてついに最強の敵が立ちはだかる!十兵衛は仲間を守り、野望を阻止することができるのか。予測不能な驚愕と戦慄の連続。伝奇エンタテインメントの最高傑作。
著者等紹介
山田風太郎[ヤマダフウタロウ]
1922年兵庫県生まれ。東京医科大卒。47年「達磨峠の事件」で作家デビュー。49年「眼中の悪魔」「虚像淫楽」で探偵作家クラブ賞を受賞。その後、58年『甲賀忍法帖』を発表し忍法ブームに火を付けた。2001年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
284
本格的に転生衆とのバトルに突入する下巻。近頃では小説も漫画やアニメも、様々な趣向を凝らしたバトル物に溢れており、それらを観てきた目で本作を読むと、戦闘場面がアッサリしすぎている。草分け的存在であるという絶対の価値を加味しなければ、かなり物足りなさを覚える読者もいるはず。とはいえ、むずかしいところではあるが、この流れで十兵衛を圧倒的に強く描いても、魔界転生の術の存在意義に疑問符がついてしまうので、やはりこれくらいが良いバランスなのだろう。武蔵との勝負だけは、もっとガチンコなものにして欲しかった。2023/04/06
harass
71
山風作品は久しぶりでこれは初読み。上下巻合わせて約1000ページ。ゲームFateの、神話や歴史上の英雄などを召喚して戦わせるというアイデアの元ネタの本というのが頭にあり、半ばそれを期待していたが、思うものと異なっていた。正直いってノレずに機械的に目を通すだけの箇所があった。発表時が1963年ごろであり、新聞連載独特の冗長に感じる部分などに少し苛立ってしまう。娯楽作に対して目が肥えたというのもある。ちょっと読む時期を間違えたかもと考えてしまった。何度も映画化漫画化などされるのは納得だが、見せ場が多すぎ。2017/12/22
HANA
66
転生して魔人となった武蔵ら剣豪六人、対するは柳生十兵衛と柳生十人衆。紀州路を舞台に彼らの戦いは続く。やはり稀代のストーリーテラーが描き、後世様々な作品に影響を及ぼしただけあってその面白さは折り紙付き。剣豪同士の戦いだけではなく随所に読者を引き込ませる仕掛けがあり、読み始めるや否や一気に物語の中に引き込まれる。ただ後の様々な作品に触れていると、試合自体はあっさりと決着がついたり勝負の際の奇策が色々と気になったりもする。とあれ時代を超えた剣豪の試合と著者独特の忍法、夢中になって読まされる作品でした。2020/03/30
タツ フカガワ
56
下巻は柳生十兵衛と魔界から蘇った剣豪たちとの対決が中心で、これがまあ面白い! 荒木又右衛門とは鍵屋の辻での対決。妖術を繰り出す天草四郎に苦戦し、実父宗矩との対決での苦悩、巌流島(船島)での果たし合いが再現されるかのような宮本武蔵との対決など、構成をはじめ細部にわたっての凝った趣向はエンタメ小説のお手本のような作品で、忍法帖シリーズのなかでもいちばんの名作ではないでしょうか。2024/02/19
№9
50
まさに痛快で伝奇な活劇エンターテイメント。エログロな場面は、映像で見せられるのと違って自分の頭の中の想像力で調整できるわけで、グロが苦手な自分でも平気だったし、エロいのもそれなりな想像で?(。-_-。)。魔界転生衆との対決も、圧倒的な力の彼我の隔たりを奇策あり知略あり情による敵の裏切りに助けられたり真っ向勝負ありと楽しませてくれる。何よりも作家の筆運びが滑らかで快活だから、ツッコミどころも安心して(?)物語に身をまかすことが出来た。壮絶な武蔵との対決後の、ラストのあっさり感も十兵衛の心情を思えば納得。2014/04/05
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- 和書
- 隠れ転生 〈4〉