出版社内容情報
奇想天外な忍法の連続。今読んでなお新しい、山風忍法帖の代表的作品!自らの横恋慕の成就のため、戦国の梟雄・松永弾正は淫石なる催淫剤作りを根来七天狗に命じる。その毒牙に散った妻、篝火の敵を討つため、伊賀忍者・笛吹城太郎が立ち上がる。予想外の忍法勝負の行方とは!?
山田 風太郎[ヤマダ フウタロウ]
著・文・その他
内容説明
戦国擾乱の世。主君筋の御台、右京太夫に邪恋を抱いた梟雄・松永弾正は、幻術師・果心居士配下の根来鴉天狗に美女狩りを命じる。美女の愛液からなる強力な媚薬、“淫石”を作らせ、篭絡しようというのだ。その毒牙に掛かったのは、伊賀忍者・笛吹城太郎の妻、篝火。死してなお犯され、弾正の愛人と首をすげ替えられたと知った城太郎は復讐を誓い、一人苛烈な闘いを七鴉天狗に挑んでゆくが…。奇想極まる山風忍法帖の代表作。
著者等紹介
山田風太郎[ヤマダフウタロウ]
1922年兵庫県生まれ。東京医科大卒。47年「達磨峠の事件」で作家デビュー。49年「眼中の悪魔」「虚像淫楽」で探偵作家クラブ賞を受賞。その後、58年『甲賀忍法帖』を発表し忍法ブームに火を付けた。また、『警視庁草紙』『幻燈辻馬車』等で、開化小説にも新領域を開いた。2001年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
283
基本的な忍術と体術だけで、敵に立ち向かう設定や、根来僧七人のキャラ立ち具合など、良いところは多々あり、実際面白く読める。ただ、ちょっとした部分の甘さで、シリーズ中の傑作になり得なかった印象。気になったのは、主人公・笛吹城太郎の人物造形と、結末の二点。ほとんど自業自得レベルで、篝火を拐われている間抜けさや、通りかかった服部半蔵に、躊躇いなく泣きつく姿の頼りなさが、若い美少年の描写としては良いが、特殊能力に頼らず戦うタフガイとしては大減点。ラストも同様に、何のために戦っていたのか、意志薄弱さを感じてしまった。2022/10/05
優希
48
もうぶっ飛んでいると言える忍法とエロティックな要素で読ませますね。根来天狗に命じられた美女狩りの毒牙にかかった妻・篝火。死してなお犯され、主君筋の御台・右京大夫に邪恋の念を抱く松永弾正の愛人の首とすげ替えられたと知った笛吹城太郎は復習を誓い、壮絶な戦いへと身を投じていくのが手に汗握ります。敵の印象が強烈で槍技と生技だけでも凄いインパクトでありながら驚かされる忍法まで隠されているんですね。後半から加速的に面白くなります。破廉恥な忍者バトルと言えばそこまでですが。2014/10/24
キャプテン
40
★★★★★_「忍者ハッタリくんだってばよ!フェア」第七弾。ござ〜るござるよハッタリくんは〜♫にんにん!拙者、摩訶不思議奇想天外、うそつき忍者のハッタリくんだってばよ!今回は伊賀忍者の若き抜け忍から、忍者の極意を学ぶってばよ!妻を殺された若き忍びが、七鴉天狗との戦いに挑む……!稀代の悪人である松永久秀、三好三人衆、柳生、果心居士、そして亡き妻と瓜二つの右京太夫…!一寸先すら展開が読めない!忍者の勉強を完全に忘れて、ただ見入ってしまったでござるよ!山田風太郎作品、完全にはまったでござる…!面白すぎるってばよ!2019/06/19
姉勤
34
甲賀の後は伊賀でしょ。舞台は戦国時代。稀代の梟雄と知られる松永弾正の欲望。妖術師「果心居士」がその欲望に応じ、提案した驚くべき提案。意中の女性を意のままにできる、『淫石』を造るため駆り出された、それぞれが異能を持つ七法師と、淫石製造の過程で犠牲になった、恋人の篝火の復讐のため、一人戦う伊賀忍者、笛吹城太郎。そこに若き柳生石舟斎と千利休が絡み、歴史のifを展開していく。性の腥さ、血の生臭さ、女性の軽視は令和の読者には合わないかもしれないが、時代の価値観で捨てるには惜しい荒々ししさを感じよう。2020/06/15
明智紫苑
27
最近の一部歴史学者の研究により、松永久秀の「梟雄」イメージが若干薄れつつあるが、それゆえに個人的にはバーナード・コーンウェルのアーサー王三部作のランスロットを連想してしまうのね。2017/10/07