内容説明
島原の乱に敗れ、かろうじて生き延びた天草側の軍師、森宗意軒は、幕府への復讐を誓い、死者再生の秘法「魔界転生」を編み出した。それは、現世に不満を抱く希有の生命力の持ち主を魂だけ魔物にして蘇生させるという桁はずれの超忍法だった。これにより次々と魔界から蘇る錚々たる武芸者達。彼らを操り、紀州大納言頼宣をそそのかした森宗意軒は、さらに由比正雪を手先として本格的に幕府転覆に乗り出した…。驚愕と戦慄の連続。息もつかせぬ展開。天才山田風太郎の最高傑作。
著者等紹介
山田風太郎[ヤマダフウタロウ]
1922年兵庫県生まれ。東京医科大卒。47年『達磨峠の事件』で作家デビュー。49年『眼中の悪魔』『虚像淫楽』で探偵作家クラブ賞を受賞。その後、58年『甲賀忍法帖』を発表し忍法ブームに火を付けた。また、『警視庁草紙』『明治十手架』等で、開化小説にも新領域を開いた。2001年没
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感想・レビュー
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佐々陽太朗(K.Tsubota)
99
最強と言い伝えられる剣豪は数多いる。誰が一番強かったのだろうというのは、剣豪小説を読む者なら誰しもが思うことではないか。歴史に名を残す剣豪がそれぞれ戦ったらどんな戦いになるのだろう、どちらが勝つのだろう。一度、戦わせてみたい。そんな夢みたいなことをこの小説はかなえてくれる。剣豪ものとして充分楽しめるのだが、そこはエンターテイナーたる山田風太郎。それだけにとどまらず、かわいらしい三人娘が囚われたり、あやしい魅力をたたえたくノ一を登場させたりと男心をくすぐってくる。山田風太郎、天才です。#ニコカド2020 2020/12/23
goro@the_booby
57
やっぱり伝奇時代小説はこれだろと最初の数ページを読み返したけど、そのまま一気に読了。山田風太郎は凄い。十兵衛好きには堪らない。現生に後悔を残す剣士たちを転生させ幕府転覆をはかる輩が正雪であり天草四郎、蘇る剣豪たちの魔性を打ち砕くことが出来るのか十兵衛!このまま下巻へ。2024/05/13
緋莢
22
多くの死者を出した島原の乱。しかし、軍師・森宗意軒は生き延び、死者再生の秘法「魔界転生」を編み出していた。現世に不満を抱く稀有の生命力の持ち主を魂だけ魔物にして、蘇生させるという超忍法を使い、天草四郎、宮本武蔵らを甦らせた宗意軒は幕府への復讐を誓い、紀州大納言頼宜を利用するために近づいていく・・・2016/10/13
makka
14
超忍法「魔界転生」により蘇る剣豪たち、対するは柳生十兵衛。史実をキッチリおさえた上での荒唐無稽で面白くないわけない!転生衆の禍々しさと対照的に十兵衛一門はコミカルに描かれ、読み始めると止まらない...下巻へ。 転生衆:天草四郎・宮本武蔵・宝蔵院胤瞬・荒木又右衛門・柳生但馬守・柳生兵庫助・田宮坊太郎(この人は知らない)、由比正雪2016/12/14
白城
13
子供の頃、時代劇で片方の目に眼帯をしたふさふさちょんまげの柳生十兵衛をつまんないなーと見ていたので、どうしてもそのイメージを引きずって読み始めたが、めっちゃくちゃ面白い!序盤の悪者側のキャラクターが出揃うまでの流れから、3人娘の逃亡とその追撃の緊迫感、柳生十兵衛のキャラクターも最初のイメージとぜんぜん違う! 50年以上前の作品とはとても思えないテンポの良さ、下巻がスゴく楽しみ!2017/01/10