感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さっと
6
薩摩兵が一人暗殺されたら、旗本を十人斬る―江戸城明け渡しから間もなくの世情おだやかでない江戸市中、斬殺された同胞に怒れる東海道先鋒隊長の人斬り半次郎こと中村半次郎(のちの桐野利秋)は布告した。そして、十人の旗本が手当たり次第に捕らえられ一刀のもとに断罪される。断罪といっても、あたら罪などない下手人に対する見せしめだ。悲劇の主人公となった旗本十人にはそれぞれの人生があったし、きっかけとなる官軍殺害の戸祭隼人にも自己防衛的なそれなりの理由はあった。何より、半次郎も馬上から乞食女をひき殺している。不条理小説。2018/01/07
辺野錠
5
山田風太郎イズム全開な気がする。それぞれ普通に生活していたのに突然死ぬことになった旗本10人の物語でオチが本当に皮肉なんだけど希望といえば希望とも解釈できるのか? 豪傑タイプの人が無様な死に方したり強運で生き延びてきた人が死んで死にたがってた人が生残るのは山風イズム全開だと思う。牢屋の中での殺人狂のつじつまの合う死についての独白も。チョイ役で歴史上の人物が登場するのはいつも通りで安心した。2013/05/13
北白川にゃんこ
4
あまりにもあんまりだ!あんまりだー!って話。薩摩はさあ…。激動の維新の裏にこんなあんまりな話もあったのかもしれない。薩摩…。2021/07/06
辺野錠
2
死にたがっていた奴が生残って強運で生き延びてきた奴が死ぬのは皮肉としか言いようが無い2010/03/18
eazy
1
ぬしゃあ旗本かこっちこう! 今のとこ風太郎の中で一番好きだ。理不尽に迫る「辻褄の合わぬ」死にジタバタと足掻く男達、その死に様の様々を冷徹でいてある種意地の悪い熱気をもってこれでもかと見せつけられる、このドロドロした念とはなんだろう? 戦中派の伝える死にもっともっと刮目すべし。2018/05/27