感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Miho Haruke
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新聞社の企画で執筆された青少年のための戦記。著者のその他の戦記文学と比較し、いっそう文章が平明で舞台も戦場ではなく、登場人物もかれんな少女たちである。しかも物語の半分近くが長崎キリシタンの受難の歴史に割かれている。耐えてきたキリシタンの末裔である彼女たち非戦闘員が一瞬のうちに戦場に投げ込まれるに至り、読者はこれは彼女たちの戦(いくさ)だったのだということを改めて知る。しかし愛と信仰に支えられた彼女たちは、文字通り死んでも負けない。映画『奇跡の海』のようなその姿に、めったに泣かない自分も(コメントへ続く)2014/04/14
さっと
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長崎市内にある浦上。江戸時代初期のキリスト教禁制から幕末~明治維新直後のキリシタン追放(他藩への流罪)まで、幾多の苦難を乗り越え信仰を守り続けた「聖地」にキリスト教国アメリカの原子爆弾が炸裂した。キリスト・天皇という「二つの神」の間で心ない差別にさらされながらも、軍需工場における積極的な勤務、凄惨な焼け跡で救助に向かう博愛の精神を持ったいまでいう中学・高校の少女たちの姿が愛おしい。2012/05/01