内容説明
もはや将軍一個の力でおさえることができないほど強大になった守護大名の力、足利義政は迫り来る戦乱の予感になんら力を発揮できず憂悶した。西郷隆盛一筋に生きた「人斬り半次郎」こと桐野利秋は、フランス香水をその身にふりかけ、突撃してくる官軍の中へ斬り込んだ。火付盗賊改の猛士・徳山五兵衛は、持て余した欲望のはけ口を夜毎描く秘画に求めた。抗しえないものと直面する武人たち、その貌が著者独自の人間解釈の妙によって浮き彫りになる。直木賞受賞直前の力作6編をおさめた珠玉短編集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
44
面白かったです。抗えないものに直面した武人たちが独自の解釈で描かれているのに興味を持ちました、池波氏の解釈の妙を味わえる短編集だと思います。2023/03/10
たカス
6
★★★☆☆応仁の乱から日露戦争までの6篇。賊将は後の人斬り半次郎となった桐野のお話。秘図も後の鬼平となったお話かと思いきやエロ画をいかに誰にもバレずに死んでいくかというお話。ワシもエロサイトの履歴を消してから死のう。将軍は乃木。司馬さんはやっぱり乃木を叩きすぎか?2018/06/23
HIRO1970
3
☆★☆直木賞に入選しながら5回連続賞を取れず苦心惨憺な時期の作品とのことを巻末で知りましたが、どれも非常に良い作品ですね。池波さんには珍しい応仁の乱は特に気に入りました。秘図・賊将・将軍も短いですが味わい深い良い作品だと思います。それにしても毎回飽きさせませんからやっぱり正ちゃんは凄いですね。2013/01/21
つぶごま
2
登場人物それぞれの心情や魅力が圧倒的迫力で伝わってきました。人の見得ということについて考えさせられた作品集でした。また、機会を見つけ読んでみたいと思います。2024/07/06
Shinobu Asakura Yamamoto
2
なかなかに珍しい、応仁の乱を扱った小説、それも池波先生のであれば読まずにはおけない。短編集で、これ以外にも、真田騒動や、人斬り半次郎、鬼平を彷彿させる火付改役、乃木希典の旅順の戦いなど実在の人物のエピソードが、短くも深く連なり、池波節を存分に味わえる一冊。2019/12/12