感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
匠
116
ラプスーチンに始まって写楽やサド伯爵あたりは澁澤龍彦の著書でも馴染み深いので、おぉ寺山さんも書いてらっしゃる~っとニヤッとしてしまった。そのほかアンデルセン、サン=テグジュぺリ、モーゼやガンジー、果ては空海、ダーウィンまで、23人の偉人や天才を挙げ、今日的問題を例に取り上げながら皮肉たっぷりにぶった切る。批評の攻撃性、さかさまから見てみる必要性を読んだ時、すごく納得できた。星の王子様だって歳をとるし、物事は見えている表面があれば必ず裏もある。そういう視点の切り替えの大切さを気づかせてくれた。2014/04/16
夜間飛行
37
新大陸発見は西洋諸国による略奪の幕開けに他ならなかった。寺山はコロンブスの動機のほとんどを私利私欲と考えながらも、海の彼方に幻の国を見た少年時代の自分を重ね合わせている。寺山の見た新大陸の夢…《人は生まれた時から死んでいて、だから二度と死ぬことのない国。すべての男は、狩人で、どの鳥も想像力より高く飛ぶ国》…夢はなおも続き、外野を守る寺山少年は、センターフライを追ってどこまでもどこまでもバックし続ける。永遠にバックする哀れな選手はいつしかコロンブスと重なるのだが、世界は転倒し、寺山の夢は実現するのだろうか?2014/05/13
北風
33
寺山修司おなじみの歴史上の人物批評シリーズですが、不思議と今回毒が薄めで、いささか拍子抜けしました。ところで、いわゆる「偉人」の定義がよくわからないんですが、本書に出てくるヒトラーやネロでないことはなんとなくわかるものの(ポーは微妙…。)、今の偉人のラインナップを見ていると、グレース・ケリーやダイアナ妃とか、「こいつら偉人か?」と思ってしまうのが混在しているカオスな状態ですね。偉人って時代によって変わるものでもないと思うんですけどね。2015/05/02
双海(ふたみ)
14
サドとヒットラーを面白く読みました。「快楽は、時としては政治的である。だが、快楽はいつの場合にも反社会的であった。《サド伯爵》」2014/03/17
Tatsuhito Matsuzaki
6
ラスプーチン、写楽、サド侯爵、ニュートン、西鶴、モーゼ、ガンジー、ヒトラー…etc. 古今東西の偉人・有名人を身近な体験と人物を引き合いに出して皮肉り こき下ろし、時に共鳴し汚名をそそぐ。 寺山氏独特の人物観&価値観が味わえる一冊です。 2021/01/24