内容説明
「もうどうでもいやになりました」と初恋のお関につぶやく車夫、録之助―樋口一葉「十三夜」。「水島さん」にひたすら憧れながら打ち明けられない少女豊子―吉屋信子「花物語」。破滅をいましめつつも恋のぬかるみに足をふみ込む赤良の狂歌。極北の絶望にむしろ力を得たり、少女の可憐にエールを送り、愛とエロスに酔いしれる。今も昔も変わらない恋する心の花びらを摘んで束ねた、お聖さんの古典案内。長谷川青澄画伯の美しい挿画入り。
目次
虚無のつぶやき―一葉『十三夜』
むかしの歌声
しがねえ恋の情けが仇―歌舞伎台本『与話情浮名横櫛』
夢みる花々の物語―吉屋信子『花物語』
夫婦は寄り合い過ぎ―西鶴『万の文反古』
美の金粉―西条八十詩集
小宰相入水―『平家物語』
よその女房―『武玉川』
お江戸の桃太郎―黄表紙の世界(その一)
千手観音のご商売―黄表紙の世界(その二) ほか
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
森の三時
32
田辺聖子さんの古典(ロマン)案内。年輪を重ねた田辺さんが感じ入った作品をチョイスしたもので、田辺さんも若い頃とは感じ方が変わったと吐露している。必ずしも初心者向けのメジャーなチョイスではないかもしれませんけど、田辺さんの古典愛を感じます。古典は最初は違和感をおぼえても親しんでいくと愛しくなるのだ。古典とは言いがたいが昭和初期のものまで紹介されていました。→2019/07/07
野の花
5
古典の読書案内。「源氏物語」「枕草子」「平家物語」から江戸狂歌、歌舞伎のお富さん、怪談牡丹燈籠などバラエティに富んだ内容でした。江戸のパロディ絵本「桃太郎の後日談」とか千手観音が自分の千本の手を貸し出す商売の話とか面白い!ロマンチックで絵が好きな私には蕗谷虹児の叙情詩や吉屋信子の「花物語」の項が嬉しい!もちろん長谷川青澄の挿絵は必要不可欠。知識欲を満足させてくれる作品でした。2016/03/03
石橋
0
マニアックというかなんというか・・・。苦手。2010/10/13