内容説明
小説家は作中人物の名前をどうやってつけているのだろう。作家杉村勝也の場合は「タカコ」という名を一度も小説の中でつかっていないという、講演会を聞きに来た女子大生のファンとしての素朴な疑問に、杉村は奇妙な反応を示した。杉村の「タカコ」コンプレックスの陰に20余年前の苦い思いをつきとめた編集者は、その思い出におおわれ、隠された恐ろしい秘密を掘り起してしまう。表題作「嫌いな名前」の他、「非常な善意」「愚かな嘘」を収録。日常生活のなかでふと取り憑かれる狂気による犯罪を描く、リアリスティックな推理小説!
目次
第1話 非常な善意
第2話 嫌いな名前
第3話 愚かな嘘