感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
キキハル
29
小松左京さん追悼の意を込めて、何十年ぶりかの再読。冒頭の恐竜登場と、最後の縁側の場面しか覚えていなくて、あとはきれいさっぱり果てしない忘却の果てへ・・・。これを読んだ若かりし頃にどんな感想を抱いたのだろう。誰かが過去に出向き歴史を改変したところで、その世界に生きている人は変わっていることなど気付かない。人の生とはつまるところ、どこで生きどこで死を迎えるかなのかもしれない。野々村は佐保子の元に帰りたかったのよね。すべてを受けとめてくれた彼女に話して聞かせたかった。「それは長い長い・・・夢のような・・・」と。2011/07/31
おすし
26
六千万年前の岩層から出土したオーパーツ。それは、砂が減りもせず増えもしない、間断なく零れ落ち続ける砂時計。…ってワクワクしますやーん!多元宇宙らしく細切れで時系列バラバラなエピソードが繋がった時のアハ体験的快感!しかし、私の貧弱読解力では2回読んでも全部繋がんない(笑) あの伏線宙ぶらりん?この人どっから出てきた?っていうのがまだあるという(悲) SFのロジック的はちょっとゆるゆるな気もしますが、面白ければいいじゃないかと思わせる、有無を言わせぬ迫力の作品でした。2021/10/12
eitah
13
タイムトラベルらしいけど、ストーリーが全く頭に入ってこず脱落。次に読む本で迷ったら読んでみる。2018/07/16
みのくま
13
宇宙規模の「管理者」とは、つまり神のことだ。全ての生命、全ての惑星の生殺与奪を一手に引き受け管理する。その絶対的超越への反抗。ルシファーの名を冠する反抗者たち。本当の自由を希求する彼らは、まるでミルトン「失楽園」に出てくる悪魔たちのようだ。しかし白眉は、この理想を追求し美学的に散って行く反抗者を、強く凛々しく待ち続ける愛すべき女性の振る舞いである。葛城山の麓で、行方不明になった自分の恋人を、彼女は全人生をかけ待つ。それは決して受動的な振る舞いではなく、彼女もまた待つことで運命と、絶対者と戦っているのだ。2017/12/23
牧神の午後
8
「日本沈没」の第三部であり、未完の遺作となった「虚無回廊」の先駆ともいえる。歴史改変とパラレルワールド、歴史の恒常性、そして「人」以上の存在、二つのエピローグトともに、物語の円環は完結し、でもその円環が開いている。たしかにこれってば日本SFでも1,2を争う傑作。そりゃ作者も書いてて体調崩すわなぁ、と嘆息。2018/05/26