感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
どんぐり
89
寺山修司に「自分の歌の出発点は中城ふみ子です」と敬愛された歌人の中城は、1954年に乳がんにより31歳でその生涯を閉じた。彼女をモデルにした映画「乳房よ永遠なれ」を女優の田中絹代が監督したのが1955年、その20年後に渡辺淳一が著したのがこの作品。渡辺がこの歌人を描くと、どうなるのか。ストーリーラインは映画と同様。それは実像に合ったものなのか。「われに似しひとりの女が不倫にて乳削ぎの刑に遭はざりしや古代に」の歌を遺していることからして、きっとそのとおりなのだろう。→2021/12/18
美雀(みすず)
29
女流歌人中城ふみ子の評伝。病に冒されながらも恋をする情熱に驚嘆しました。エリートと結婚して3人の子供にも恵まれたのですが、幸せではなかった。歌を覚えたら少女のような振る舞いをするのが印象的でした。2015/02/08
玲
6
歌人中城ふみ子をモデルにした小説。勧められて。道徳とか風紀とかを胸から取り外して読まなければならない。今も尚ロッカーがクスリに溺れるように、ふみ子はただ愛に溺れていないと生きられなかったのだと思う。死が近づく程耽溺も酷くなる。そんな無惨を見る。ふみ子の場合、社会や倫理の目が殆どなく、一種の自己表現の目しか持たなかっただけだ。愛の定義は万人のそれと違うけれど、だから破廉恥に見えるけれど、ふみ子はふみ子らしい生き方を貫いたのだろう。誰のためでもなく己のために。歌集を読もうと思う。少し休憩してから。2018/04/05
宙太郎
3
渡辺淳一氏は僕の読書範囲に入っていないんだけれど,中城ふみ子氏の伝記だということで読んでみた。そして,この一冊で彼女の印象が大きく変わってしまった。”その才能が見いだされた時にはすでに癌の末期で,余命いくばくもない状態だった薄幸の歌人”というのは間違いないのだが,ずいぶん自己主張の激しい,そして恋多き女性だったらしい。歌を詠むというのはそれだけ強い精神力が必要とされるのだろうか。かの中井英夫氏が”やり手のジャーナリスト”として登場するのもびっくりだった。中城ふみ子氏の歌集をきちんと読んでみたいなぁ。2022/07/01
ゆーじ
2
「阿寒に果つ」の加清純子は愛欲を絵具に混ぜ自らの短い人生を描き切った。そして「冬の花火」の中条富美子は生と死を歌に詠み、狂い咲く。「ひざまずく今の苦痛よキリストの腰覆ふは僅かな白き粗布のみ」2023/05/14
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