感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nobby
190
『夜歩く』そのまんまなタイトルがいい。佝僂(せむし)や夢遊病、その時代錯誤な事柄にすっかりのめり込む。首無し連続殺人という惨殺の舞台となる古神家に溢れるのは背徳・欲望・淫靡やら因縁にまみれた狂喜。小説の様にと形容されるほど、思った通りに進みながら不気味さ漂わせる事態に翻弄される。これは犯人分かりやすいと勝利の快感に酔っていたら、見事にひっくり返され我敗れたり(笑)金田一耕助の遅めの登場やあまり活躍しない様さえ巧みな構成の一環とは恐れ入る。大半の人物が異常でありながら、陳腐にならず堪能出来るのも素晴らしい!2017/10/19
とも
165
背筋が凍る…の表現は言い過ぎかもしれないが、ここ最近の推理小説には及ばない怖さと奥深さが感じられた一冊でした。トリックにしても、謎解きにしても今の時代からみても遜色無く色褪せない輝きを魅せる横溝正史氏の一冊。2015/11/27
夜間飛行
113
顔のない死体のトリックを見事に応用している。さらに、凶器が金庫の中というオマケつき! 三つの殺人(三つ目は未遂)すべてが顔のない死体のトリックを用いているが、たぶん、第二の殺人をメインにして組み立てたのだろう。単なる連続殺人ではなく、(動機はもちろんトリックとしても)関連性があって、金田一が三つ目を防げたところを評価したい。この作品は金田一物としては古い方だが、私の金田一ベスト3である『犬神家の一族』『悪魔の手毬唄』『八墓村』の要素がすべて入っている。話の面白さとしてはベスト3に負けると思う。2012/12/15
aquamarine
106
二人の佝僂男、首なし死体、夢遊病。横溝作品らしい雰囲気はそのままですが、なぜか今回金田一がなかなか出てこなくてやきもきしました。舞台を移してようやく金田一が颯爽と(?)現れ、ささっと新しい事実を暴いていく様には相変わらず感心させられます。思いがけない事実がわかった後、自分の頭の中でドミノが倒れるようにパタパタと色々なことが繋がっていく様は気持ちが良かったです。犯人の心境はいかばかりかと思いますが…。確かに有名な他作品と比べたら派手ではないかもしれませんが、ある意味今風のこの作品、私はとても好みでした。2017/06/28
Richard Thornburg
95
感想:★★★★★ 子供のころ以来のウン十年ぶり再読第6弾! 早々に金田一耕助登場・・・という記憶だったのですが、実際には中盤過ぎからの登場。 本作は何といっても本文を読む限りで犯人を推測できないところが面白い点ではないでしょうか。 事件を引き起こすきっかけになった時間の厚みが、いい具合にストーリーの味付けをしてくれているように思います。 個人的には横溝センセ屈指の名作だと思っています。 かなり良質なミステリーです。2014/07/27
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