内容説明
木下藤吉郎に請われいったんは信長に加担した孫市だったが、騙されたと知り紀州・雑賀へと帰った。図らずも憧れの姫君と再会し、今度はなんと信長最大の敵・石山本願寺に味方するよう懇請される。藤吉郎との奇妙な友情も通わせながら、孫市率いる雑賀衆三千の鉄砲が信長勢に火を噴いた!生来の楽天主義と無敵の鉄砲で、信長に見事「尻啖わせた」男の魅力を圧倒的な面白さで描く司馬文学の傑作。文字が大きく読みやすい新装版。
著者等紹介
司馬遼太郎[シバリョウタロウ]
1923年(大正12年)、大阪府生まれ。大阪外国語学校(のちの大阪外国語大学、現在の大阪大学外国語学部)蒙古語(モンゴル語)学科卒業後、産経新聞社に入社。59年、『梟の城』で直木賞を受賞。その後、66年に菊池寛賞、72年に吉川英治文学賞、75年に日本藝術院賞恩賜賞、81、86年に読売文学賞、82年に朝日賞、88年に大佛次郎賞を受賞し、93年に文化勲章を受章。96年(平成8年)2月、72歳で永眠(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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むーちゃん
151
エンターテイメント性満載の作品。他の作品とは少し毛色が違いました。生き方が自由でかつ憧れます。2017/04/09
サンダーバード@永遠の若者協会・怪鳥
80
紀州雑賀衆の頭領、雑賀孫市の生涯を描いた作品。戦国の世の中を自分の腕一本で切り開いていった男の話。孫市のキャラクターが実に良い。史実に忠実な歴史小説も良いが、こちらは司馬さんの作品としては珍しく、どちらかというとエンターテイメントに重きを置いた作品とも言える。そのぶん読んでいても実に痛快。信長との戦いのシーンは手に汗握る展開でした。★★★★
優希
78
信長に対し、一歩も引かない姿勢の孫市が格好良かったです。最初は信長に加担しつつ、騙されたと知れば、本来の雑賀へと身を翻すのは戦国時代ならではだと思わされます。藤吉郎との奇妙な友情、信長との対立の中で見せる男らしさに惹かれずには入られませんでした。信長の天下において、信長を苦しめた男がいたことを知らしめられました。2018/06/01
糜竺(びじく)
49
さすが司馬先生、非常に面白かったです。主人公の雑賀孫市は女好きなのが玉に傷ですが、三国志の諸葛孔明ばりの戦上手で、信長軍団を翻弄する所はメチャクチャ痛快でした。ここまで、信長を苦しめた男がいたとは全然知りませんでした。しかし、どことなく一匹狼で領土的な野心があるわけではなく、戦国時代を気ままに楽しく生きているような感じが、読んでいて非常に伝わってきました。引用「孫市はこの時代の地侍の典型というべき漢(おとこ)だった。その底ぬけの楽天主義、傲岸さ、明るさ、そして愛すべき無智、すべて孫市はそなえていた」2016/12/17
優希
42
藤吉郎に誘われ、一度は信長に加担した孫市でしたが、騙されたと知れば本来の雑賀へと身を覆すのは戦国時代ならではですね。信長に対し、一歩も引かない姿勢が格好良いです。藤吉郎との奇妙な友情がありつつも、信長と対決する。そこに男らしさを感じました。信長の天下において、信長を梃摺らせた人物がいたことを圧倒的な面白さで描いた作品でした。2023/04/03