内容説明
独自の史観と、豊かな知識にもとづいて、歴史のなかの日本と日本人を見つめつづけた著者が、当代を代表する作家や研究者とともに、日本史を彩る事件や人物について縦横に語り尽くす、「日本史探訪」。争乱の時代を生き抜いた名将たち、維新を支えた立役者の群像、時代の先駆けとなって海を渡った人々…それぞれのドラマが、歴史小説の第一人者の視点により、生き生きとよみがえる。「源義経」「織田信長」「関ケ原」「新選組」「坂本竜馬」「幕末遣欧使節」など十三編を収録。
目次
平家を全滅させた軍事的天才―源義経
湊川に戦死した南朝の忠臣―楠木正成
蝮と呼ばれて国を盗った男―斎藤道三
近世を開いた合理主義の天才―織田信長
天下を分けた大激戦の明暗―関ケ原
南方に進出した日本商人―朱引船
日本探求に賭けた青年医師―シーボルト
幕末の人材を育てた蘭方医―緒方洪庵
尊攘派弾圧の幕末機動隊―新選組
維新史を飾った陰の実力者―坂本竜馬
花の都パリに現れた侍たち―幕末遣欧使節
上野戦争の官軍総司令官―大村益次郎
北海道開拓に夢を託した人々―新世界“蝦夷地開拓史”
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
esop
67
戦争というのは世論を決定させる一手段にすぎない/しかし、それよりも、私はですね、何よりも、道三にはやはり正義があったんだろうと思いますよ。つまり、人間はね、正義がなければ涼やかな風景にならないんです。また、人も惹きつけないんです/家康は豊臣会社における最大の下請け会社の社長でーー三成は秘書課長ーー/病者に対しては、唯病者を視るべし。貴賤貧富を顧ることなかれ/近藤勇の局長というのは、象徴であって指揮はしていない。そして近藤勇に対して人気が集まるようにしている/サッポローアイヌ語で広くかわいた原野2024/12/03
ヴェルナーの日記
66
著者・司馬遼太郎氏が、日本史におけるターニングポイントとする13項目をトピックして、対談形式で、彼の歴史観を語っった内容になっている。さすが数多くの歴史・時代小説を手がけてきた人物であり、その着眼点は数多い作家たちの中においても、屈指と呼んでも、決して問題はないといえるだろう。司馬氏は、関西出身の方なので、かしこまった文章とはならず、よい意味での砕けた筆致は、平易(丸みを帯びた)文でありながら、同氏の独自の視点が、スパイスとなって、作品に面白味を感じさせ、読者が十分に堪能できる味のある作品群となっている。2015/03/27
優希
54
面白かったです。独自の視点と歴史観を持つ作家や研究者立ちと共に日本史を色取った人や事件を探ります。それぞれの物語はドラマチックに描かれていて引き込まれました。あまりよく知らないこともあり、学びにもなりましたし。まさに「日本史探訪」です。2023/04/11
saga
43
義経から始まる日本史上の有名人・出来事を概観できる。全部で13のトピックスで構成されており、興味を抱いたものは別に深掘りする必要があろう。印象的だったのは「朱印船」の船中規約……およそ貿易は人と己を利するものなり。異国は我が国と風俗言語を異にするも、天賦の理はいさかも変わらず。ここには今で言うWin-Winの関係の重要性の認識や、日本人がコスモポリタンの資質を備えていたという素晴らしさがあった。2017/06/19
aponchan
35
司馬遼太郎氏作品乱読のうちの一冊。対談方式ではあるが、氏の作品の中では特に読みやすく、歴史上の舞台・著名人を通して分かりやすく伝えてくれる。ほかの対談集では、司馬氏の主張が多くなっているものが多いが、本作品は、対談相手の話が多く収録されていることもあって、対談相手の博識ぶり等も楽しめた。2020/01/08