内容説明
誰にも知られることなく、心の底にそっとしまっておきたかった心温まるエピソード。―ピンクに輝く真珠のネックレスにかくされた母を恋う娘の切ない思い「真珠の道飾り」。ずっと欲しかった天火を手に入れた日の思い出「サンタクロースの天火」。人は誰でも神さまに出逢うチャンスを持っていることに気づかせてくれる、15篇の感動的なドラマを収録。
目次
杏ジャム騒動
十和田湖の3年みそ
駅長さんを走らせる
サンタクロースの天火
ただでアパートを建ててくれた人
真珠の首飾り
5万円を置いていった女性
チャリティの出演者たち
陰にいたほんとうの主催者
秋田の天国にいちばん近い村
お金だけなら耐えられる
友情の奨学資金
わが家臣松平恒忠めが
お寿司と小母さん
お姑さまの善意
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
Shinji
75
続けて森村さんです。ニューカレドニアの旅行体験記を含む、森村さんが出逢った善意の塊を持った人達を綴ったエッセイ。まあ森村さん自体が人がいいからなんだろうね。やっぱりそういうところに人は惹きつけられて集まるんだわ。確かに幸せな人は不幸せな人を気付けないと思う、けど、声が届けば助けようとするだけの余裕がある。神さまは誰の側にでもいるという暖かさが伝わってくる楽しいエッセイでした!あっ、あと森村さんの少し打算的なとこ面白かったですよ!2015/09/23
かい
4
自らも人を信じ裏切られることがありながらも、それでも笑って人を愛し続ける森村桂の視点で、善意の庶民との出会いについて語ったエッセイ。単なる「いい話」ではなくなっているのは、この人の魅力故か技術故か。とにかく、言えることは。作家森村桂が好きだという人は、信用できるということ。2009/05/04
なー
3
「必要だ」と思った事には一直線で時には人様に少々驚くようなお願いごとをする森村さんは見る人が見れば単なる図々しい人だったかもしれない。でも、また別の人の目には魅力に溢れた人に映って、どうしてもお願いを聞いてあげたくなるように映るんだろうなあ。私の目には、森村桂さんは人の心を打つ人のように見えます。『私にとって神と思えた人達も普通の人達で心の中に優しい物を持っていて、使うチャンスを待っていた』という部分が印象的でした。巻末の宮城まり子さんの文章が本当にもう…。宮城まり子さんの御本も読んでみたいです。2020/09/17
barabara
2
うぅ〜ん、時代じゃないよなぁ、やっぱり森村桂という人の中にある、分かる人には分かるハッとする魅力、そういう煌めきが見る人にはビックリするほどキラキラし、見る人によっては図々しい、何でもやってもらえると思うなよ…となるんだろう。かくいう私も、駅長さんに杏を頼んだり、御木本真珠の社長に無理を承知で格安の月賦をお願いしたり、それを自分に置き換えたとしたら、冷たい視線だけが返ってくるのを想像して、何とも言えない気分にもなった。ある程度は有名な文化人という事で許されてたのかな、とも思う。2013/10/07
Kazuyo
2
[蔵書整理のため再読]「天国に一番近い島」やお菓子レシピ本で一時期ブームだった森村桂さんが逢った善意の「神さまたち」の15篇のエピソード。初版は昭和50年。最初の数話ではなんてずうずうしくて迷惑な人だといらついたが、お母様への真珠ネックレスや町田の小母さんの話はじんわり。終盤の「今の世の中に、必要なのは、そうした、庶民の善意、思いやり、実行力では、ないだろうか」という言葉が心に残る。作者は2004年9月にうつ病闘病中だった病院で自殺、過去の善意は彼女の最期には光にならなかったのだろうか。2013/09/16




