内容説明
岡っ引きに頼まれた色事に勤しむ無宿人竜助。が、それは覗きの罠であった―「夜の足音」。将軍家光が上洛。その際の噂で自滅する武士の話―「噂始末」。大名家の娘の縁談に関わる旗本と春日局の意地―「破談変異」。大久保彦左衛門が今わの際で自らの恥多き人生を振り返る―「廃物」。緻密な時代背景とスリリングな展開。時代小説の名手が一気に書き上げた粒ぞろいの短篇を収録。
著者等紹介
松本清張[マツモトセイチョウ]
1909年福岡県に生まれる。53年、『或る「小倉日記」伝』で、芥川賞を受賞。56年、朝日新聞社広告部を退社し、作家生活に入る。67年、吉川英治文学賞、70年、菊池寛賞、90年、朝日賞を受賞。92年8月没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アン・シャーリーこと寺
62
松本清張の昭和30年代の6本の時代短篇集。『無宿人別帳』『彩色江戸切絵図』からそれぞれ1篇ずつ。この二つは推理テイストだが、『噂始末』『破談変異』は武士道物。『廃物』は大久保彦左衛門、『背伸び』は安国寺恵瓊を扱った戦国物(ちょっと芥川っぽい)。松本清張の創作小説を一冊読むのは初めてなので、興味深さも相まって大変面白く読んだ。どうしても人間の心の闇みたいな暗さがあるが、それが良い。他のも読みたい。2014/03/09
佐島楓
22
清張氏の時代小説は今回初めて読んだ。ほかの作品と同じく、市井に生きる人々が理不尽な目に遭うという点が共通している短編が多く、そういう作品のほうが活き活きしているように感じた。そして時代小説というより、ミステリ的なものを兼ね備えた筋立てになっているのがさすがというべき。面白く読んだ。2014/01/25
ごへいもち
18
その時代だから不条理なのは当然だけれどストレスフル2023/04/26
ひなきち
16
面白かった!読み応えのある6つの短編集で、着眼どころに目を見張った。一見、俯瞰的なのに、読み始めると自分のことのようにドキドキしてしまう。さすが心理サスペンスの帝王だ!と思う。中でも短編「廃物」に惚れた。2016/04/21
Endo Takafumi
8
米倉涼子が出てて、人間の業を描いた暗い作品ばかりだろうという誤った認識が払拭されました。作品一つ一つがとても筋が練られてて面白く読めました。たくさん書いてるから駄作もあるんでしょうが、やはりビックネームは読むべきですね。2014/01/04