内容説明
昭和27年、日航機「もく星」号は伊豆大島の三原山に激突、全37名の命が奪われた。その時、米人パイロットと米軍管制官の間にどんな交信がなされたのか。全員救助の報が絶望に変わる一夜の間に、米占領軍で何が画策されたのか。犠牲者のひとり、ダイヤ密売の美女は何者なのか。世を震撼させた事件の謎にせまり、「40年目の真実」を明らかにした、巨匠最後の渾身作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
レモン
37
日航機という文字が目に入り、『クライマーズ・ハイ』と同様日本航空123便墜落事故を題材にしたものと勘違いしていた。こんな不可解な事件があったことも知らなかった。前半の詳細な説明部分は読みにくいが、小説部分が前面に出てきてからはするする読めた。唯一の女性客の搭乗目的からまさかこんな形で推理するとは予想外だったが興味深い。ダイヤ回収はさすがに眉唾過ぎるが、血の気の多い国連軍による演習中の撃墜との推理はどれだけ信憑性が高いのだろう。2023/07/16
浅香山三郎
10
単行本が平成4年刊なので、以前のものに手をいれたとはいへ、清張の最晩年の作品といふことにならう。解説にもあるやうに、素材となつてゐる、「もく星号」事件と、乗客であつたダイヤモンド密売に暗躍する謎の女性の死は、『日本の黒い霧』ではノンフィクションとして取り上げられた。ノンフィクションで取り上げた事件を、推理を交えて小説化するといふ手法は、『小説帝銀事件』と同様である。まう一つの『風の息』も読んでみないと、なぜ同じ事件で二つ目の小説化が必要だつたかは分からないが、松本清張の昭和史に対するこだはりがよくわかる。2023/10/15
jima
8
s27年日航機もく星号が三原山に激突、墜落。2023/07/15
ミノムシlove
8
ノンフィクションかと思って読んでいったら実話ベースの創作ということらしい。正直、米占領軍のワードが出てきた瞬間「また軍の陰謀論か」と思ったが、実際交信テープ提出拒否をはじめ、米は何かを隠しているに違いないとしか思えない。37人もの命が亡くなっているのに弱い立場から何も言えなかった当時の政府。遺族はたまったものではない。2023/03/24
1goldenbatman
6
「・・「もく星」号墜落事故は、とりも直さず日本の空を軍事的に掌握している極東空軍の管轄の責任でもある。その事故が人為的なそれであろうと、不可抗力であろうと、その責任は、極東空軍にある。・・」1971年7月30日、全日空機が自衛隊機に「仮想敵機」として演習の目標にされ、岩手県雫石付近に墜落したという新聞記事で、「日本の黒い霧」で書いた「もく星」号遭難事件の事故分析の間違いに気付いた作者は、以後「風の息」という長編小説を書き、20年経てからこの作品が生まれた。きっかけは、1983年の大韓航空機撃墜事件らしい。2019/05/02
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