出版社内容情報
『犬神家の一族』『八つ墓村』『獄門島』『人形佐七捕物帳』……
膨大な名作を残した“探偵小説一代男”の生涯と、妻の温かな献身。
末娘がとっておきのエピソードを鮮やかに綴る。
角川書店創立80周年記念作品!
【目次】
家族の時間
思い出の作家たち
父と日常
父を支えたみなさま
父の素顔
小説と父
あとがき
内容説明
病に伏せっていても、ビリビリと真剣な電波を発するようにして、父は小説を書き続けていた。『犬神家の一族』『八つ墓村』『獄門島』『人形佐七捕物帳』…。膨大な名作を残した“探偵小説一代男”の生涯と、妻の温かな献身。末娘がとっておきのエピソードを鮮やかに綴る。
目次
家族の時間
思い出の作家たち
父と日常
父を支えたみなさま
父の素顔
小説と父
著者等紹介
野本瑠美[ノモトルミ]
児童文学作家。1939年、長野県生まれ。慶應義塾大学文学部哲学科美学美術史学専攻卒業。横溝正史の次女。父・横溝正史の作品の清書に携わる。著書に児童文芸新人賞を受賞した『みたいなみたいな冬の森』(文芸の森社)がある。日本児童文芸家協会会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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パトラッシュ
126
日本の探偵文壇史は様々に語られてきたが、その一員であった横溝正史の娘が戦前から戦後にかけての家族史を通じての回想は生々しくも面白い。多数の作品を残した横溝が実は病身で、妻の仕事は大半が看病だったとは。看護する家族を支える愛犬や、将棋の大山名人との意外な関わり。江戸川乱歩との親密な交友と、乱歩の死に取り乱し号泣する姿。角川映画にチョイ役で出て喜び、散歩中に若者からサインをねだられて困惑したり。作家同士で家族ぐるみの付き合いがあったからこそ、私生活を含めた貴重な証言が残った。いつか横溝の本格評伝が出てほしい。2025/11/12
ぐうぐう
26
娘である野本瑠美が、父・横溝正史(そして母)との想い出を綴る。横溝が病身であったことは知っていたが、ここまで終生病いと付き合ったとは知らなかった。若くして結核に侵された横溝だったが、結核菌から解放されたのが73歳の時だったというから驚きだ。病いにも負けず、戦争にも挫けず、数々の探偵小説を生み出し、晩年まで創作意欲が衰えなかったのは凄い。凄いと言えば、瑠美が語る文豪達とのエピソードにたまげる。江戸川乱歩の膝の上でよく抱っこされたという瑠美は、その大乱歩のことを「乱歩オジチャマ」と呼ぶ。(つづく)2025/10/06
まっつー(たまさか)
5
本書は横溝正史とその妻である孝子について家族が回想するという家族史・文壇史的な記録としての側面と、回想をすること自体が野本瑠美氏自身の個人史にもなっている、という側面もあるように感じた。横溝ファンが喜びそうで、また心温まる逸話も多く、読んでいて心地よかった。なんにせよ、今後とも末永く語り継いでいただきたい気持ちがあり、またそれとは無関係にいつまでもお元気でいてほしい気持ちがある2025/10/20




