出版社内容情報
26歳の春、根岸は6年間勤めていた料理店を辞めた。長年お世話になったオーナー夫妻と板長、そして同僚たち。その全員の顔を根岸は未だに覚えられない。人の顔を認識できない脳機能障害の一種、相貌失認を抱える根岸は、もっと自分に向いている働き方を探し続けていた。そんな根岸が次の道として選んだのは「出張料理人」。出張料理人は依頼人の元へ出向いて料理をするため、不特定多数の客を迎える機会はなくなるからだ。幸運にも埼玉・与野でぴったりな物件にめぐり逢い、新しいスタートを切った根岸。そんな根岸の元へ、結婚記念日のサプライズメニューのオーダーが入る。張り切る根岸だったが、物件が地元で愛された名店の跡地だったことから、その名店の跡継ぎだと誤解されていて――。依頼人の心に寄り添いながら供されるおいしい料理たちと、駆け出し出張料理人の奮闘記!
【目次】
一、思い出の武蔵野うどん
二、憧れのゼリーフライ
三、すいとんとつみっこ
四、歴史の中のかて飯
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
23
          
            6年間勤めていた料理店を辞めた料理人の根岸が、次なる働き方として「出張料理人」の道を選ぶ駆け出し奮闘記。相貌失認を抱える根岸が、幸運にも埼玉・与野でぴったりな物件にめぐり逢い、対人恐怖症を抱える従妹の芽未と一緒に新たなスタートを切る展開で、物件が名店の跡地だったことで跡継ぎだと誤解されたりもしましたが、埼玉の郷土料理を通して、依頼人の心に寄り添いながら料理を提供する姿は温かく真摯で、障害に対する受け止められ方に複雑な思いや父親との確執にも向き合い、それを乗り越えていく姿には応援したくなるものがありました。2025/10/14
          
        えみちゃん
17
          
            初読みの作家さん。「角川ごちそう文庫」の帯に惹かれて購入。笑っ。人の顔を認識できない「相貌失認」という障害を抱える料理人・根岸は自分に向いている働き方を探して6年間働いていたお店を辞めて「出張料理人」として再出発します。ところが新居として選んだ物件がかつて地元で愛されていた名店だったことからその後継者として誤解され依頼が舞い込むことになるのですが・・。打ち合わせに出向き依頼者の要望を聞くと毎回「割烹おかやす」にぶつかります。それに反発するのではなく、少しでも依頼者に寄り添おうと「おかやす」の味を知る雨宮に2025/09/25
          
        クレイン
12
          
            非常に読みやすい。この方の作品は2作目だが、毎回温かい人たちばかりで安心する。確かに生きていると色々な問題がある。しかしその状況下で何を見るか、どう考えるかそれが大切だと感じる。 この方の作品は他にも読みたい。2025/10/14
          
        leo18
9
          
            埼玉を舞台に相貌失認の料理人と引きこもりになってしまったその従姉妹が運営する出張料理人の奮闘記。埼玉のご当地料理は馴染みがなくて新鮮だったし、人々が温かくてほっこり癒やされるいつもの読後感。2人には障害を乗り越えて幸せになって欲しい。2025/10/14
          
        Mayrin
8
          
            相貌失認を初めて知りました。向き合いながら奮闘する姿が良かったです。2025/10/13
          
        


 
               
               
               
               
              


