出版社内容情報
視覚的に人を認識することが難しい高校生の葉月は、人と関わりを持たない学校生活に徹していた。
気になるのは、三年前に最寄り駅で名も無き遺体として見つかった少女……。顔も名前もあるはずなのに、誰も少女のことを知っている人が現れない。
葉月とは全く逆の立場ではあるが、なぜか同調してしまう。
そんな葉月の前に現れるようになった学校で人気の男子高生・海斗。海斗と一緒にいると目立ってイヤな反面、彼のポジティブな言葉に幾度となく救われる。
その海斗と、三年前に亡くなった少女の面影を持つ美沙の存在が、少しずつ葉月の生活に変化を与えていく。サスペンス青春恋愛ストーリー。
内容説明
昼休み。誰も来ない校舎裏で過ごしていた葉月は、先客を発見する。クラスメートから避難してきたらしい彼は、人の顔を見分けられないという葉月のコンプレックスをあっさりと受け入れ、会うたびに「長谷川海斗だ!」と名乗って何かと絡むようになる。一方、クラスの女子のペンダントが身元不明遺体の所持品と似ており、気になっている葉月だったが…。人間関係を諦めていた彼女に差し込んだ一筋の光が導いた先は―。魔法のiらんど第3回恋愛創作コンテスト青春ドラマ部門奨励賞受賞作。
著者等紹介
天野コハク[アマノコハク]
第3回魔法のiらんど恋愛創作コンテスト青春ドラマ部門にて「メガネの向こうに優しい三日月」で奨励賞を受賞し、改題改稿した本作でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ときわ
6
人間の脳には顔に特化した顔細胞があると聞いたことがある。何故そんな特殊な細胞があるのかというと群れで暮らす人間に必要だから。もしそこがちゃんと機能しなければ顔の判別が出来ないことになる。私はこの主人公ほどではないが、少しだけ顔細胞の働きが弱いので彼女の苦しみを想像できた。救いは家族が理解して守ってくれていること。普通に生活できるのだがある特定の困難があるというのもなかなか大変だ。別の困難を抱えた少年。虐待を生き抜いた少女。ミステリ部分もあり、読後感も良くすごく面白かった。2025/06/19