出版社内容情報
注文は受けない。いつだって――。都内でタクシードライバーを務める61歳の立原啓介には、密かな楽しみがあった。こだわりの食材を武器に、極上の「お家ご飯」を作り出すことに情熱を注いでいるのである。巧みな買い物術と、鋭い審美眼により生み出される料理は、まさに至高のひと皿。一人娘の菜央子も骨抜きにされている。ひと癖もふた癖もある中年オヤジの華麗なる美食の日々を描いた、病みつき必至のグルメ小説!
内容説明
注文は受けない。いつだって。都内でタクシードライバーを務める61歳の立原啓介には、密かな楽しみがあった。こだわりの食材を武器に、極上の「お家ご飯」を作り出すことに情熱を注いでいるのである。巧みな買い物術と、鋭い審美眼により生み出される料理は、まさに至高のひと皿。一人娘の菜央子も骨抜きにされている。ひと癖もふた癖もあるオヤジの華麗なる美食の日々を描いた、病みつき必至の新しいグルメ小説!
著者等紹介
荒木源[アラキゲン]
1964年、京都府生まれ。東京大学文学部仏文科卒、朝日新聞社に入社。2003年『骨ん中』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
mae.dat
261
6話連作短篇。脱サラタクシードライバーさんの話。自虐も含めて何でしょうけど、タクシー運転手を低辺の受け皿の様に思っているのはどうなのかなぁ。と思わなくも無く。それより美食部ですよね。食以外にもだけど、拘りが超強目でね。食べる事を愉しみとし、外食するよりそのコストは食材費に掛けた方が良いと言う考え方。技術面で劣るのは止む無しと言う潔さも併せ持っていて。調理・食事をするシーンもそうですが、買い出しから描かれていてね。安かろう悪かろうは是としないスタイル。食材から季節の移ろいを感じさせる描写も巧妙ですね。2025/10/21
Karl Heintz Schneider
44
61歳でバツイチの立原啓介はタクシードライバー。彼の密かな楽しみはおうちごはんを作ること。その腕前は一人娘の奈央子も脱帽するほど。初ガツオ銀皮造りとかハモのうおぞうめんとか料理のレベルがハンパない。タクシードライバーが美味しい飲食店を紹介する食のエッセイを思い浮かべていたら全然違っていた。そのリアルな描写に著者の経験も混じっているのでは?と思わされる。ここのところの暑さですっかり煮炊きする気力を失いコンビニメシで済ませる始末の私。この本の主人公を見習いたいとは思うものの涼しくなってからでもいいかなと。2025/06/16
Kazuko Ohta
27
ほぼ余談なのですが、大阪・なんばに波屋書房という創業百年を超える老舗の書店があります。ここは料理の専門書に特化した本屋で、料理人御用達。私は料理人でも何でもないけれど、ただ、ここへ行くと文庫本も料理に関するものが集められていて凄く楽しい。主人公は一流企業を退職、今はタクシーの運転手。趣味は料理。いい歳をした一人娘は、外で食べて来るなり自分で作るなりすりゃいいものを、父親の手料理を楽しみにしています。今時のグルメ小説にしては少々硬めの文章だなと思うものの、生真面目な主人公の性格に合っているのかもしれません。2025/05/05
Nobuko
14
料理が上手くなければ、ただのややこしいおじさん?と思うほど、こだわりが強い立原啓介。材料の買い出しから綿密な計画を立てて行動する。良い魚が手に入ったからといって単純に喜ぶ訳でもなく、季節感を大切にして温暖化を憂いてみたり。大企業を辞職して、起業するも失敗し、タクシー運転手の道へ。どこまでも料理を極めるのかと思えば、ただの人で終わる気はなく、PCの中には書きかけの小説が…。離婚した妻が華々しく活躍しているのを見返したいのか?優しい拗らせおじさんのこだわり豪華家庭料理。一人娘の菜央子が良き理解者なのが救い。2025/11/18
kei
14
大手企業に勤めていたが、退職し起業するも失敗。妻とも離婚しタクシードライバーになった立原啓介。密かな趣味は料理で仕事の休前日にはお酒に合う旬の料理を作って食べることが楽しみだ。離婚がキッカケで必要に駆られ始めた家事だったが、向いていたらしく、掃除も料理も難なくこなす。社会人の娘からは料理も掃除もお金を取るが、下手な店より美味しいらしく、家で食事を取る。結構めんどくさい父親だが、娘に褒められたら悪い気はしないし、こんな手の込んだ料理が出てくるなら娘が家でご飯を食べるのも納得。2025/10/19




