出版社内容情報
警視庁捜査一課に所属する花菱朝彦は、捜査で失敗を重ね、異動を命じられた。だが、異動先は朝彦の想像を遥かにこえた部署だった──「割烹課」という部署が警視庁の地下4階にあるというが……。
内容説明
警視庁捜査第一課の花菱朝彦はしくじりを重ね、ついに異動を命じられた。だが、異動先は朝彦の想像をはるかに超えた部署だった。刑事部割烹課―警視庁の地下にあるという割烹料理店に送られた彼は、そこで板前修業をすることに。女将も板前も警察官という割烹『警視兆』の正体とは?日々修業を続け、調理師免許などを取得した朝彦は、ある日フグ料理店への潜入捜査を命じられるが…。抱腹絶倒の書き下ろし警察小説。
著者等紹介
田中啓文[タナカヒロフミ]
1962年大阪府生まれ。2002年「銀河帝国の弘法も筆の誤り」で星雲賞日本短編部門を、09年「渋い夢」で日本推理作家協会賞短編部門を、16年「怪獣ルクスビグラの足型を取った男」で星雲賞日本短編部門を受賞。時代、SF、伝奇など、さまざまなジャンルで活躍中(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ちょろこ
108
笑いが絶えない一冊。さすがの田中さん、お得意のとんでも設定で面白かった。警視庁にある刑事部割烹課、その名も「警視兆」。そこに異動した花菱朝彦が料理人として、いや、刑事として職務をこなす警察小説はふふふ、くすくす状態。KYドジ坊こと朝彦のずっこけぶりはもちろん、登場するみなさんのキャラとズレっぷりがさざなみのように打ち寄せてきて終始笑いが絶えない。このまま緩く笑いをつまみながらのままかなと思いきや、とんでもない、ない。きちんと事件捜査、解決までの意外にも美味しい味わいに思わず舌鼓。これは…おかわりプリーズ。2024/10/11
タイ子
83
警視庁の地下にある割烹料理店。うん、普通だ。いや、普通じゃないところが田中さんなのだ。警視庁捜査一課の花菱は捜査でしくじり左遷の憂き目に。異動になったのが警視庁地下4階にある割烹「警視兆」。れっきとした割烹課なのである。課長は美人女将。花菱はまず板前修業から始めるが実は彼は父親の関係で料理とは無関係でもなく腕はめきめき上達。だが、彼は割烹課の刑事。潜入捜査あり、ラーメン屋店主殺人事件あり…。起こる事件は面白い推理ものになっているので真剣に読んでしまう。こんなフィクションの世界は田中さんしか書けない。2024/10/08
aquamarine
70
捜査一課でドジゆえに捜査で失敗を重ね、異動を命じられた花菱朝彦。移動先は警視庁の地下4階にある刑事部割烹課「警視兆」。まず料理人として鍛えられた彼がその部署で関わるのは、フグにあたった男、桜鯛が食べられない刑事、二軒の仲が悪いラーメン屋。しっかりと腕を上げたもののドジぶりはそのままで、周りの個性的なキャラと共に真相に近づいていく。ほとんどコメディなのだが、気づくと私の脳はちゃんと伏線を探し、オチに満足しミステリを堪能していた。さらりと読めて楽しい一冊。続編が出たら嬉しい。2024/10/28
ケイト
60
とんでもない設定と言葉のチョイスが面白すぎて、最初から出てくる人の名前に大笑い。ドジな刑事 花菱朝彦が移動になった先は、『警視兆』割烹課?大声で挨拶したら小声でって言われて、課長が『ささやき女将』もう田中さん、なんですの?この話。犯罪は飲食店で起こることが多いらしく、朝彦は捜査する訳でもなく板前修行の毎日。でもそれがいずれ役に立つことに⋯刑事にしておくにはもったいない腕前になるところがまたまた面白かった。田中さんの作品はいつもふざけてる感満載だけど、ミステリになってるしいつも感心させられる。2024/12/23
タツ フカガワ
57
警視庁捜査第一課の刑事花菱朝彦の異動先は本庁舎の地下4階にある刑事部割烹課。課内では“警視兆“という料理屋が営まれ、課長は”ささやき女将“こと森川春江警視正。事件の多くは飲食店で発生する、ということで朝彦は異動したその日から料理修業に明け暮れる。フグ毒を使った殺人事件、旬の桜鯛にまつわる名刑事の陰、行列のできるラーメン店の秘密という3編の連作で、警察小説+グルメ小説をユーモアというソースで覆ったような一冊。筋立ては粗いけれど、”ありえねぇ“設定は結構好みでした。2025/08/11