出版社内容情報
江戸で三本の指に入る袋物屋「三島屋」に奉公する17歳のおちか。ある出来事から誰にも心を許すことができなくなり、叔父夫婦の店で黙々と働く日々を送る。ある時叔父の留守をあずかるおちかに客人は、曼珠沙華が咲く庭を見やり、自身が経験した不思議な因縁話を語りだす。こわばった心がほどけていく、宮部みゆき流百物語、ここに開幕。
内容説明
江戸で三本の指に入る袋物屋「三島屋」に奉公する17歳のおちか。ある出来事から誰にも心を許すことができなくなり、叔父夫婦の店で黙々と働く日々を送る。ある時叔父の留守をあずかるおちかに客人は、曼珠沙華が咲く庭を見やりながら、自身が経験した不思議な因縁話を語りだす。こわばった心がほどけていく、宮部みゆき流百物語、ここに開幕。
著者等紹介
宮部みゆき[ミヤベミユキ]
1960年東京生まれ。東京都立墨田川高校卒業。法律事務所などに勤務の後、87年「我らが隣人の犯罪」でオール讀物推理小説新人賞を受賞してデビュー。93年『火車』で山本周五郎賞、99年『理由』で直木賞、2001年『模倣犯』で毎日出版文化賞特別賞。02年司馬遼太郎賞と芸術選奨文部科学大臣賞文学部門、07年『名もなき毒』で吉川英治文学賞。22年菊池寛賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アキ
93
100分間で楽しむ名作小説シリーズ。「おそろし三島屋変調百物語事始」の一話を再編集したもの。表紙のカラフルな色彩に惹かれて手に取りました。曼珠沙華。またの名を赦免花。死人花。17歳で叔父の営む三島屋に奉公にあがったおちかは、主人の不在の際に来客の曼珠沙華にまつわる身の上話を聞く。それは自身の過去にも同じような暗い影を持つもの同志が、共鳴して生まれた空間であった。人殺しの兄を持つ弟の複雑な心情をおちかに打ち明けたことで心の底に凝った悲しみを慰められた。さわさわと囁くように、乾いた骨を風が撫で、儚い音がたつ。2025/02/08
pirokichi
19
初めての「100分間で楽しむ名作小説」。文字が大きく読みやすかった。本作『曼珠沙華』は三島屋変調百物語の一冊目『おそろし』に収録されている第一話目で、まだまだこれから長く続くであろう物語のさわりの部分なので、面白かっただけに、読み終えて、中途半端な感じが否めなかった。今後物語はどう展開していくのか気になるので、『おそろし』を読もうか、どうしようか。2024/05/27
Tanaka9999
15
2024(令和6)年発行、KADOKAWAの角川文庫。「おそろし」の最初の1篇。最初の部分だけに登場人物の紹介がある。そして話もおそろしい話。曼殊沙華の花の影に顔を見る。このシリーズはやはり人の想いによるものが恐ろしい。おちかの事件の詳細は語られないがどうだったか、非常に気になる。人物紹介が必要なシリーズ最初の作品にも関わらず最後まで来るとそんなことを思わせない。語り手の想いが暗い方向に変わる部分が秀逸。2024/08/17
北風
13
江戸時代の世相と習慣にあって、怪談として成立していて、こわい。罪の意識が、幽霊を生み出すのか……。 いつの時代も罪を許されるというのは、難しいこと。過失は本当にやるせないけれど、ふざけ半分に人を傷つけるようなことはしてはいけないし、自制心を持たなければならない。本当に何もかもを失ってしまうから。あっちに行ったら、もう戻れない。 ええ~、おちかに何があったのか、気になる。ちなみに、一時間くらいで読めた。2024/06/02
えつ
10
100分間で楽しむ名作小説シリーズ!装丁が素敵なので購入しようか悩んでいたけれど、図書館にあったので借りました!宮部みゆきさん、久しぶりに読んだなぁ。このシリーズは文字が大きく、行間もゆったりめで、薄いので読みやすい。ちなみに、『おそろし』を再編集したものなので、導入編みたいな感じ?三島屋百物語が気になるし、おちかのキャラも好きな感じだったので、今度は『おそろし』を読んでみようかなって思う。2024/05/05