出版社内容情報
お釈迦さまが散歩の途中、極楽の蓮池の下をのぞき込むと、カンダタという男が血の池でもがいているのが見えた。人を殺したり放火をしたり、さまざまな悪事を働いた末に地獄に落ちたカンダタを見てお釈迦さまは、彼が生前、蜘蛛を踏みつぶそうとして思いとどまったことを思い出した。そこでお釈迦さまは、彼をめがけ蜘蛛の糸を地獄の底へたらしたが――。
内容説明
お釈迦さまが散歩の途中、極楽の蓮池の下をのぞき込むと、〓陀多という男が血の池でもがいているのが見えた。人を殺したり放火をしたり、さまざまな悪事を働いた末に地獄に落ちた〓陀多を見てお釈迦さまは、彼が生前、蜘蛛を踏みつぶそうとして思いとどまったことを思い出した。そこでお釈迦さまは彼をめがけ蜘蛛の糸を地獄の底へたらしたが―。
著者等紹介
芥川龍之介[アクタガワリュウノスケ]
1892年東京生まれ。東大在学中に豊島与志雄や菊池寛らと第三次「新思潮」を発刊。1916年に発表した「鼻」が夏目漱石に激賞され、続く「芋粥」「手巾」も好評を博す。後年は厭世的人生観に拠った作品を手がけ、また小説の「筋」をめぐり谷崎潤一郎との文学論争に至った。1927年「ぼんやりした不安」から睡眠薬自殺(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
hukkey (ゆっけ)
10
100分間では終わらない短編集。あらすじと登場人物に微かに覚えのあった「蜘蛛の糸」に加えて、全く知らなかった「地獄変」「羅生門」「鼻」も収録される。昔の作品ってテーマとか解釈が明確じゃなく、短編だけど丸ごと想像させてくる感じがする。絵師が溺愛する娘を目の前で火にかけられ、文字通り目に焼き付けてでも地獄絵の屏風を仕上げる「地獄変」が印象的。語り手の主観に惑わされるものの、大殿様はやはり暴君だろう。ただ、良秀の娘を車に入れた覚えがなく、最後すり替えられていたから青ざめたと解釈するのはミステリーの読みすぎかな。2024/06/16
えつ
7
100分間で楽しむ名作小説シリーズ8作目!今作は表題作「蜘蛛の糸」のほかに「地獄変」「羅生門」「鼻」も収録。読んだ記憶があるのが「羅生門」だけ。それも話は覚えていなかった。「蜘蛛の糸」がここまで短い話だとは思っておらず、なのにとても内容が詰まっていて、結構楽しめたかな?芥川は特に知らない単語がたくさん使われている印象を持った。あと見たことない漢字に出会った。面白い。注釈の単語以外の単語を調べるの大変だった。このシリーズじゃなかったら芥川作品は手に取ってなかっただろうな。2024/09/28
ムーミン2号
5
大きな文字、少な目のページ数で、100分間で読めるとするシリーズ。芥川作品の内、「蜘蛛の糸」「地獄変」「羅生門」「鼻」の4編が収められている。一番印象的なのは「地獄変」で、天才の言動・思考などは凡人のそれが及ぶようなものではないのだが、それは文学における芥川くんを彷彿とさせもする。久々に芥川作品を読んだのだけど、4編いずれの作品も暗い影と深い闇を感じてしまう。2025/03/16
猫茶
3
「地獄変」が好きです。結末を知っていたのに、最後の展開はウワァと息をのみながら読み進めました。あと猿の良秀がかわいい。全体的に丁寧でゆったりとした文章で、長すぎず、大昔のことに関する知識量もすごいのに、思っていたよりずっと読みやすかったです。1冊100ページ程度にまとめられた文庫のシリーズで「蜘蛛の糸」「羅生門」「地獄変」「鼻」を収録。2024/05/03
uchiyama
2
「蜘蛛の糸」「地獄変」「羅生門」「鼻」の四篇収録。どれも一度は、教科書やら何やらで「読まされてきた」短編ですが、今回自覚的に読んでみて、知らない単語頻出でカマされていたんだろう感のある(といって、さして面白いとも思えなかった)子どもの頃と比べても、やっぱりその語りの技巧に特に感心することもなく(結果、心動かされることもなく)、でした。2024/07/11