出版社内容情報
任官七年目の裁判官、安堂清春(あんどうきよはる)は、東京からY地裁に赴任して半年。幼い頃、発達障害と診断され、主治医のアドバイスを受け、自身の特性と向き合ってきた。
市長候補が襲われた詐欺未遂と傷害事件、ほほ笑みながら夫殺害を告白する女性教師、「娘は誰かに殺された」と主張する父親……。さまざまな事件と人との出会いを通じて、安堂は裁判官として、そしてひとりの人間として成長していく。
内容説明
任官七年目の裁判官、安堂清春は、東京からY地裁に赴任して半年。幼い頃、衝動性や落ち着きのなさから発達障害と診断され、専門医のアドバイスを受け、自身の特性と向き合ってきた。市長候補が襲われた詐欺未遂と傷害事件、ほほ笑みながら夫殺害を供述する女性教師、“娘は誰かに殺された”と主張する父親…。さまざまな事件と人との出会いを通じ、安堂は裁判官として、そしてひとりの人間として成長していく。生きづらさを抱える若手裁判官が、自らの特性と格闘しながら事件に挑む異色の青春×リーガルミステリ!
著者等紹介
直島翔[ナオシマショウ]
1964年、宮崎県生まれ。立教大学社会学部卒。新聞社勤務。社会部時代、検察庁など司法を担当し、『転がる検事に苔むさず』で第3回警察小説大賞を受賞しデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いつでも母さん
155
10歳の時に発達障害(ADS・ADHD)と診断されるも、信頼できる医師に支えられ自らの生きづらさを自覚し、特性と共存しながら7年目の裁判官・安堂が格闘する日々。発達障害と一言で括るもそれは様々で、ここまでの年月を思うと頑張ったんだろうなぁと、いや、頑張ってるんだなぁと肩入れして読んだ。連作3話。安堂の周りのキャラも好くて、これは是非ともシリーズ化して欲しい。その後が色々気になってしまう。特に弁護士・小野崎との行方だ。 2024/04/16
ちょろこ
138
なかなか良かった一冊。読み進めるほどに良さを感じた法廷ミステリ。そわそわ、むずむずと日々対峙する裁判官の安堂は、いわゆる発達障害。その彼の持つ"特性"に重点を置いて、そこを活かして真相へと描いているのが良かった。殺人や詐欺未遂等、事件に向き合いながら自分の脳とも向き合う苦しみには時にせつなさも感じるほど。定着発達者とちがう、そう彼の心をサポートする医師の存在の大きさも良かった。日々、自分と闘い努力する彼の姿は裁判官として以上に一人の青年として応援したくなる。ラストは深呼吸したくなるほど清々しさでいっぱい。2024/05/16
タイ子
127
これまで読んだ法廷関係の作品とは少し違ってある意味新鮮。と、いうのは主人公の裁判官・安堂清春は幼い頃、発達障害と診断を受け自分の心の内と日々闘いながら法廷に座る任官7年目の裁判官だから。自分の特性が十分判っているだけに、それらに注意し困った時には幼少期からお世話になっている専門医に相談しながら自分と向き合う日々。彼ならではの特性で事件の真相が見えてくるのも面白い。社会との交わり、他人とのふれあい、一番やっかいな自分との格闘。安堂のこれからの成長を見守りたい。ミステリと人間味を十分に味わえる作品。2024/05/14
machi☺︎︎゛
87
発達障がいのある裁判官の安堂。自分で障がいのことは理解して上手く付き合いながら一般社会に溶け込んでいる。だけどどうしても譲れないこだわりや習慣もあり生きづらさも感じている。本人だけではどうしようもない事もあるから周りの人達の理解がどれほど大切かと思った。うちの子も発達障がいがあるから小説だと割り切れずに色々考えながら読んだ。2025/01/23
ゆみねこ
80
10歳の時ASDとADHDと診断され、良き専門医との出会いで自身の特性と向き合いながら生きてきた裁判官・安堂清春。任官7年目の彼が様々な事件や人との出会いを通じ成長してゆく物語。彼の特性があればこそ解決に至った事案もあれば、宋春美の事件は少しモヤモヤした結末に。弁護士・小野崎とのこれからも気になるので、続編を期待したい。2024/05/31