出版社内容情報
児童虐待を受けた若者が経験を語る映画「REALVOICE」の監督・山本昌子が、ボランティア活動を通じて向き合い続けてきた若者たちのリアルな声。当事者だから聞ける心の叫びを掬い上げたドキュメンタリー。
内容説明
「叩かれても、ひどいことを言われても、それでもお母さんが大好き」なのはなぜだろう。
目次
つながり続けてほしい。ただいてくれるだけでいい―琴海(24歳)
本当はお母さんに迎えにきてほしかった―杏(19歳)
人生初の親子喧嘩は里親とだった。伝えたい感謝の気持ち―侑珠(24歳)
困る前に助け合える社会であればいい―蓮(20歳)
親を庇う気持ちも、親を憎む気持ちも持っていていい―凜(23歳)
著者等紹介
山本昌子[ヤマモトマサコ]
1993年生まれ、東京都出身。生後4か月から2歳まで乳児院、2歳から18歳まで児童養護施設、18歳から19歳まで自立援助ホームで生活した経験を持つ。児童養護施設出身者の成人をお祝いするボランティア団体「ACHAプロジェクト」の代表を務める。こども家庭審議会こどもの居場所部会委員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
たまきら
34
…ああ、どんなに失敗してもこじれてしまったとしても、親に対する気持ちというのはこんなにも強烈なものなのだろうか。家族の中では完全に黒い羊状態だった自分は、今もあまり実家には寄り付かない娘です。でも、サバイバーたちの言葉を読みながら、この複雑な感情が熟成するまでの自分の内面に多少なりとも向き合うことができました。感謝しています。愛憎という相反するものを内包する心が、空虚な無関心になった時が本当に「手放す」行為なんだろうなあ…。ああ、執着を手放す…これが解脱なんだろうか。2024/10/28
スリカータ
10
虐待サバイバーの本はこれまで何冊か読んで来た。本書は対話形式だが、話の共感性や話し難い内容を無理なく引き出すのが上手だと感じた。実際、かなり厳しい内容で、読んだ日から数日は夢に出るほどだったが、自分の言葉で話したことを編集せずにそのまま載せたところにリアリティがあった。ひとりの人間を真っ当な社会人に育てる難しさと、傷ついた子どもを立ち直らせる側の人たちは親の数倍の人数が要ることも痛感した。2024/10/12
安藤 未空
3
「私は子どもを愛しています」そう思っている。ただ、それが子ども本人にとって「適切な愛し方」なのかは、子どもが成長し、世間を知り相対化するなかで、彼らが判断することだ。私自身は、いわゆる虐待的なことをしているつもりはない。でも、子育てに正解がない分、今の自分の子育ては子どもをどこかで苦しめていないか、この本を読んでいて不安になった。このような不安も率直に語り合える親子関係を築くのが親ができる「最善」と言えるのだろうか。 虐待を経験しつつもなお前を向いて生きる方たちの声は本当に親として重く受け止めたいと思う。2025/05/18
悠木
2
虐待サバイバー5名のインタビュー。雰囲気は深刻ではないが、身体的虐待を受けていたという話から始まり、でも保護のきっかけは性的虐待でしたという話がサラッと語られるなど内容は衝撃的。親を憎んではいない、虐待当時に親への支援が必要だったと思うという語りが共通していて印象的。虐待が発覚し保護されてそれで万事解決とはならず、施設や里親家庭にうまく馴染めない、未成年の間は公的な支援を受けられるが成人になった途端に大人扱いされ途方に暮れるという話も考えさせられる。Youtubeで映画が無料公開中なのでそちらも見たい。2025/03/24
フェリペさん
0
当事者の声に触れられる、という意味でとても有意義な読書経験になった。2025/03/28