出版社内容情報
《別れても会えなくなっても見えずとも一度出会えばずっと祝祭》
《天秤にあと少しだけ花びらが降ってきたなら変わる人生》
《百年後、朝の海辺で待ってます。この約束を愛と言いたい》
中村森の第一歌集。
監修:千種創一(歌人・詩人)
内容説明
Xで話題の新世代歌人待望の第一歌集。
目次
一度出会えばずっと祝祭
仮説ムーンライト
君だけずっと無敵でいいよ
想像よりもうつくしい君
コーリング
花冠を編む
君が飼ってたポメラニアン
逆光サンライズ
鈴が降る国
食べ飽きて、眠り損ねた
エメラルドの文鎮
使い終わった言葉の果てに
これから信じる感情のために
真珠星
ミリオン
この星は無風
すべての季節は春の中
土足で入る湖だった
猫の瞳の青さで泳ぐ
クリスタル・フルムーン
ハピネス
グッドフライト
雨の島
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
にゃこ
8
――星空は冠として煌めいて他者の正しさを借りずに生きる―― 私の好きな人たちはみんな、自分の軸があって、自分の正しさを信じて、でも柔軟に、真っすぐに生きてる。私には輝いて見えるし、彼らはいつだって私の目標になる。自分の意志が見えなくなった時、大事な決断をするとき、私は彼らを自分に憑依させる。得るのは彼らの嗜好の価値観、ではなくて彼ら自身の判断基準。あの人なら今、何を大事にするだろうか。そんな人にたくさん出会える私の人生はとてもとても幸せなもの。尊敬する人達の煌めく自分の世界を慈しんでいきたい。2024/09/15
えいこ
6
書店の短歌特集で書店員さんのおすすめ本。装丁も素敵。初めて読む歌人だったが、どの短歌も詩的でとても好みだった。帯にもなっている歌「帆を揚げる 会いたい人に会いに行く それはほとんど生きる決意だ」佳き。「夜の海 唯一字幕が光ってて椅子に座れば深々沈む」体感。「どうしても謝りたかった何一つ欲しくなかった 月曜朝に」感情の記憶。上の句から下の句にかけて僅かにずれるその行間にイメージが立ち上がる。2024/05/25
あまはら
4
やわらかい歌を書かれる方だな、と思った。 海、空、花、真珠、雪に纏わる歌が多い印象を受け、それもやわらかい印象を抱く一因になっているのだと思うが、選ばれた言葉が優しいなと思ったのも確か。 そんな中出てくる「引き継ごう」「性善説を」のフレーズがこの本にぴんと緊張感をもたせていて、凄いなと思った。ただ優しいというだけではない、著者の諦観のようなものを感じた。2024/10/03
ちゃちゃまる
4
出会いも別れもしあわせも祈りも呪いもこの中にあって、言葉はそこにスッと立っている。 救いもあの時に流した涙もここにある。2024/07/24
梅あんず
3
p3「帆を揚げる会いたい人に会いに行くそれはほとんど生きる決意だ」 p13「百年後、朝の海辺で待ってます。この約束を愛と言いたい」 p50「「忘れて」と「覚えていて」の後悔を海に置いたらどちらが沈む」 p68「好きな人が幸福である嬉しさよ全ての四季の花が香って」 p76「花の名を教え合うように話してた忘れたように生きると思う。」 2024/08/31