出版社内容情報
あの世界で一番不運な殺し屋が、また騒動に巻き込まれる――。『マリアビートル』では新幹線から降りられなかったが、今度は東京の超高級ホテルから出られない……!?
伊坂幸太郎、2年ぶりの完全書き下ろし。殺し屋シリーズ最新作。
内容説明
そのホテルを訪れたのは、逃走中の不幸な彼女と、不運な殺し屋。そして―。やることなすことツキに見放されている殺し屋・七尾。通称「天道虫」と呼ばれる彼が請け負ったのは、超高級ホテルの一室にプレゼントを届けるという「簡単かつ安全な仕事」のはずだった―。時を同じくして、そのホテルには驚異的な記憶力を備えた女性・紙野結花が身を潜めていた。彼女を狙って、非合法な裏の仕事を生業にする人間たちが集まってくる…。『マリアビートル』から数年後、物騒な奴らは何度でも!
1 ~ 1件/全1件
- 評価
-
ミスランディア本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
1105
以前『マリアビートル』を読んだ時には、それがまだ私にとって2作目の伊坂幸太郎体験であったために、そのあまりの荒唐無稽ぶりに驚いた。それから幾星霜、今やヴェテランの域に達している(?)ので、平常心で受け止めることができる。タイトルの「777」は運の象徴である。乾にとって、そして常に悪運に付きまとわれている七尾にとって。そればかりではなく、布たちにとっても、6人組や他のすべての登場人物たちにとっても。これは、そんな彼らがダイスを転がすように展開してゆく物語。スピード感は極上。この物語自体にとっての夾雑物は⇒2023/11/13
青乃108号
943
殺し屋沢山シリーズ第4弾。間に「AX」を挟んでいるが、「マリアビートル」の続編的作品。中盤までは正直、前作の方が良かったな、なんて思いながら読んでいたところが。終盤に畳み掛けるあれよあれよの怒涛の展開、さすが伊坂幸太郎、サービス満載で腹一杯、楽しませてくれる。読後感も最高の、絶対読むべき一冊。この本だけは、文庫になったら買います。2023/11/21
いなばさくら
807
長編サスペンスミステリ。いや、そんな陳腐なジャンル分けは意味ないですね。伊坂幸太郎さんの単行本を発売日に購入したのは初めて。ああ、お金があるって幸せ…お金に難のある登場人物達が止むなく裏稼業的業者に身をやつし、その道のプロとして同業者達と切磋琢磨するって、ある意味スポーツものみたいな殺し屋もの。シリーズ4作目って謳ってますがマリアビートルの続編感が強いです。科白が多く残虐シーンが多いのも伊坂さんらしいですが、伏線回収もお見事!1ラインだけ全く分からん伏線があったので読後に復習して納得でした。2023/09/23
stobe1904
788
【殺し屋シリーズ長編】『マリアビートル』は新幹線が舞台だったが、今回は高級ホテルが舞台。とにかく運の悪い殺し屋天道虫が受けた仕事は高級ホテルにプレゼントを届ける簡単な仕事のはずだったが…。このシリーズの特徴である疾走感はこの作品でも健在で読む手が止まらない。裏の仕事を請け負う物騒な業者たちのどこかズレた会話も楽しく、『マリアビートル』のような重厚感はないが、伊坂ワールド全開の抜群に面白い作品だった。★★★★★2024/11/30
bunmei
760
『マリアビートル』に続く殺し屋シリーズ。個性豊かな殺し屋達が、現れては消されていく、生死を賭けたバトルロ・ワイヤル。『マリアビートル』では、新幹線から降りることができなかった不運な殺し屋・天道虫が、今度は高級ホテルから出ることができなくなり、様々な殺し屋相手に、悪戦苦闘劇を繰り広げる。過激なバイオレンス・シーンも描かれているが、決して血生臭さを感じさせず、シリアスさの中にも、ウィットに富み、コミカルさも感じさせる展開が、伊坂流の真骨頂。天道虫に降りかかる後を絶たない災難に、思わず同情してしまう。 2023/10/20