出版社内容情報
「お父つぁん、おっ母さん、もうすぐ私もいくからね」
流行り病で両親を亡くし、奉公先のいじめに耐えきれず、川に身を投げたお葉。だが、気づくと町医者・道庵のもとで親身な介抱を受けていた。お葉はずっと醜いとののしられ、すぐには人の優しさを信用できなくなっていた。しかし、患者へと真摯に向き合う道庵の診療を手伝ううちに、人の真心をを学び、成長してゆく――。江戸の人情が涙を誘う、感動必至の時代医療小説!
内容説明
「お父つぁん、おっ母さん、もうすぐ私もいくからね」流行り病で両親を亡くし、奉公先のいじめに耐えきれず、川に身を投げたお葉。だが、気づくと町医者・道庵のもとで親身な介抱を受けていた。お葉はずっと醜いとののしられ、すぐには人の優しさを信用できなくなっていた。しかし、患者へと真摯に向き合う道庵の診療を手伝ううちに、人の真心を学び、成長してゆく―。江戸の人情が涙を誘う、感動必至の時代医療小説!
著者等紹介
有馬美季子[アリマミキコ]
2016年、『縄のれん福寿』(祥伝社文庫)で時代小説デビュー。その後、「はないちもんめ」シリーズ(祥伝社文庫)で好評を博す。2021年、第10回日本歴史時代作家協会賞の文庫シリーズ賞を「はないちもんめ」シリーズ、「はたご雪月花」シリーズ(光文社文庫)で受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ちょろこ
122
医、食、心の一冊。奉公先でのつらい日々に耐えかねて川に身投げをした少女 お葉が町医者 道庵に命を助けられたことから始まる物語。初読み作家さんだったけれどとても読みやすかった。絶望と心の傷だけを背負ったお葉が次第に温かさと信頼にくるまれていく姿に何度も目と心がじわじわうるうる状態。そして自分にできることを道庵先生や周囲の人たちとの交流から学んで見つけていく姿がよかったな。東洋医学も興味深く、つくづく食が滋養に繋がり、はたまた心の状態も関係することを改めて実感。厳しくも温かい言葉にもたくさん出会えてほんわか。2024/09/03
タイ子
91
生きることを諦めた一人の少女が命を助けられ、命の大切さを知り成長していく物語。お葉は両親を病気で失い、奉公先では虐められ川に投身したところを医師の道庵に助けられる。一命を取りとめたお葉だがこれまで心に受けた傷は人を信じられないという哀しい傷となって残る。だが、道庵と産婆のお繁は厳しくも優しくお葉を導いていく。心に傷を受けた者は患者に寄り添うことが出来る、道庵の助手となり日々成長するお葉。薬草の効能、食物の効果、漢方薬で見かけることはあっても効能の詳細を知れて面白い。時代小説で味わう医と心の物語。2024/01/20
坂城 弥生
35
続編も出るみたいで楽しみです。2024/05/14
あっちゃん
34
両親が亡くなり奉公先でイジメにあい川に身投げしたお葉、医師に助けられ助手として手伝う事に…時代小説だと苦労して当然のように思われるけど、そうじゃないよね(笑)徐々に前向きに生きていけるようになる辺りホッコリ( ̄ー ̄)2024/04/30
のんちゃん
33
二親を病で亡くし奉公先で酷いいじめに遭い、親戚にも騙され失意のお葉は川に身投げしたところを医師道庵に助けられた。人を信じる事ができないお葉だが、道庵と産婆のお繁の温かい看病で本復し、お礼に道庵の診療所で働く事になった。その仕事の中でお葉は人の真心を知るようになる。江戸の医療お仕事小説。コロナ禍以降医療小説が現代物時代物、両方で増えた気がする。どの時代の医療従事者の苦労も重いものだと改めて感じる。そして、経験がその力量を確かなものにしていく過程もよくわかった。お葉も沢山の経験からきっと成長していくだろう。2025/01/24