出版社内容情報
自分が引退しても、我が子のように大切な会社には末永く続いてほしい――経営者の願いも虚しく、中小企業の後継者不足が問題となって久しい。
二人の息子のどちらかに会社を継がせたい、洋菓子店の二代目社長。
社内に目ぼしい人材がいないとボヤく、ワンマンバッグメーカー社長。
社長の急な逝去により外国人オーナーのもとで働くこととなった、刃物メーカー社員。
会社の行く末に三者三様の悩みを抱える人々に、型破りな中小企業診断士・北川は、前代未聞の経営改革案を提示する。
『県庁の星』著者がおくる、痛快お仕事エンタテインメント!
内容説明
中小企業の後継者不足が問題となって久しい昨今、二代目社長・正人は悩んでいた。65歳になり経営者としての引退が見えてきた今、誰に会社を継がせるべきなのか。型破りな中小企業診断士・北川は、悩める経営者たちに前代未聞の後継者決定策を提示する。『県庁の星』著者がおくる、痛快お仕事エンタテインメント!
著者等紹介
桂望実[カツラノゾミ]
1965年東京都生まれ。大妻女子大学卒業。会社員、フリーライターを経て、2003年『死日記』「作家への道!」優秀賞を受賞しデビュー。05年刊行の『県庁の星』が翌年映画化され大ヒット(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いつでも母さん
159
ちょっと怪しい中小企業診断士・北川が絡む会社の後継者問題を抱えるお仕事小説。どの話も実際にあるだろうなぁ・・でも、こんなに上手くは行かないよね。同族経営であっても無くても課題は山積み。役職が人を作るともいうけれど、社長だけで会社は成り立たない。そして、社員たちの意識・・3話とも心地よく読んだ。2023/12/20
ウッディ
119
真面目だが商売のセンスがない長男と、チャラくて仕事への熱意が感じられない次男、自ら大きくしたケーキの製造販売会社の後継者にどちらを選ぶかに悩んだ社長は、蝶ネクタイをした胡散臭げな中小企業診断士の北川に相談する。ワンマンオーナー社長のバッグメーカー、社長が急死した包丁メーカー、社長の代わりができる人間なんていないとタイトル通りに心配するのは、これまでのやり方を続けようとする社長だけで、頼りないと思っていた部下たちも、それぞれの持ち味で、会社の危機を救うという3つのお話で、いずれも爽やかな読後感でした。2024/05/09
hirokun
114
星3 気軽に読めるお仕事小説。私は、中小企業のサラリーマン経営者の経験があるので、後継者の問題は身につまされるものがありました。経営者が孤独であるのは間違いないことです。会社に次々に発生する問題に対応していると、将来に向かってしていかねばならない課題、人材投資などについて継続的に取り組むことが二の次になりやすい。お客様、社員、お取引先様を第一に考える必要があるし、そのように考えるよう意識はしているのであるがつい目の前のことに目が行きがちになる。大変な役割だと思う。2024/01/03
ゆみねこ
101
ちょっと風変わりな中小企業診断士・北川と3つの会社。兄弟のどちらに会社を継がせるか悩むケーキ屋チェーンの社長。部下に物足りなさを感じているバッグの製造販売会社のワンマン女社長。社長の急死で海外の会社に経営権を渡した刃物メーカーの社員たち。どの話も面白くサクサクと読了。経営って難しいだろうけど、北川のやり方はステキ!2024/01/14
tetsubun1000mg
99
桂望実さんの著作はタイトルがうまくつけられていてよく読んでいるのだが、「県庁の星」から「たそがれダンサーズ」「僕は金になる」以降の作品は確実のレベルがアップしている気がする。 読んだ後にこころが色々な方向から揺さぶられる感じがするのだが、心地よい読後感が残る。 本作も二代目や創業者が、後継者がいないことに悩んでコンサルタントに依頼すると思いもしない策を提案される。 とりあえずやってみると意外に自分の見えなかったものが表れてくる。 結局、社員の内面を見ていなかったか、気が付かなかったのだが結末はスッキリ。2024/01/23